最終章 You Only Live Twice 1
『僕はグルルや四方の守護者を創った存在。そういえばわかるかな?』
「···ディアブロ。いや、ルシファーか?」
少年はニコッと笑った。
そしてその形を変化させる。
『認識違いというのはなかなか覆せるものではないのだよ、エージェント・ワン。』
「クリス···。」
『その表情はなかなか興味深い。元の世界ではそんな顔を見せたことはなかったはずだ。』
不敵に笑うクリスに驚愕しかなかった。
『この男は人として実在する。意識に入り込んで元の世界では君を監視し、こちらの世界ではいろいろと手助けする存在とさせてもらった。』
再び少年の姿に戻った彼は自身の正体について触れる。
『この少年は君に護衛されていたときに自分を何と名乗っていたか覚えてるかな?』
「バキウス···。」
『そうだよ。意味は空っぽ、虚飾という意味だね。僕の本来の力を内包すると気づかれてしまうからね。』
「気づかれてしまう···神アトレイクにか?」
『正解だ。私の存在は異世界であってもすぐに見抜かれてしまう。何せ、元は同じ存在なのだから。』
彼の口調が突然変わった。
「神アトレイクと同一の存在だったと?」
『アストライアーという神について聞いたことはあるだろう?』
「正義···星の神ということか。」
『そう、神界も含めてこの世のものは常に表裏一体だ。必要悪というものも存在するな。元の世界ではおまえもそのひとつだったから理解は容易いだろう。人間が神や悪という存在も同じだ。』
「アストライアーから善と悪が生まれたということなのか?」
『本来、神の概念上に善と悪というものは存在しない。あるのはそれぞれの主張と行動で色分けされた存在意義のみだ。それを人間から見て善や悪などに分類した。』
「堕神や堕天使もそれと同じだというのか?」
『それは少し違う。神とは、その存在を崇拝する力の大きさで位が別れるのだ。人間が堕神や堕天使と呼ぶのは、不信により神として崇められなくなった存在をいう。』
混乱しそうになる頭を鎮め、ひとつひとつ整理した。
「つまり、神とは神界では広義としての存在で、そこには善も悪もない。善悪や表裏というのは人間が勝手に定めたことだと?」
『その理解で概ね間違ってはいない。神というのは人間と似て非なるもの。ひとつの個体に違う意志が芽生えれば分神して別の存在となる。』
「アスライアーの中にふたつの人格···いや、神格が生まれ、それが分神してアトレイクとルシファーが生まれたということなのか?」




