第4章 朋友 「relic⑬」
爆風で鋭利な破片が狭い範囲で飛び交った。
一瞬、体が浮き上がりそうになったが、足先で別の熱風が激流のように横切り、こちらへの流れを塞き止める。
周囲の状況が元に戻った頃合を見計らって視線をドラゴンゴーレムにやったが、吹き上がった砂塵で状態は確認できなかった。
先ほどの爆風を遮ったのは、おそらくファフの紅炎だろう。
閉じていた瞼を通じて、紅が紫に覆い被さる様な色彩を感じたのだ。
ファフとアッシュの気配を感じてそちらに視線を移す。
ともに別の方角からこちらへと向かってくる最中だった。
「ありがとう。助かった。」
「どうということはない。ただ、少し無謀だったとは思うぞ。」
ファフは苦笑いを浮かべていた。
ドラゴンゴーレムの首に雷撃を流したことにより、ブレスの発生源を壊してしまったのだと思う。
それが暴発することによって、あの破裂が起こったとしか考えられなかった。
「見事に首から先が爆散しているな。頭部はかろうじて原型を留めていそうだが、壁に突き刺さっている。」
アッシュがドラゴンゴーレムの近くに歩み寄って状況を確認してくれた。
経緯はどうあれ、結果として倒すことができたようだ。
俺はファフが差し出してくれた手を取り立ち上がった。
体に異常がないかを確かめてから、ドラゴンゴーレムの残骸へと向かう。
核となるような魔石は見当たらない。
「ゴーレムは核が無事だと再起したりするのか?」
俺は何気に聞いてみた。
「確かにそういったゴーレムもいるようだが、こいつの核はさっきの爆発で吹き飛んだと思うぞ。」
「そうなのか?」
「核には魔力が集中するからな。まだ無事なら俺かファフが気づくはずだ。」
「そうだな。明確ではないが、こいつが現れたときに首の付け根あたりに強い魔力を感じた。ブレスの発生源だからかと思っていたが、おそらくそれが核だったのではないかと思う。」
首部は吹っ飛んで周辺に破片をばらまいていた。その付け根は大きく損壊している。魔石らしきものも見当たらないので、一緒に爆散したと考えるべきだろう。
とりあえず、このドラゴンゴーレムの対処は終わった。
まだ先に結界が続くようならもっと厄介なものに道を阻まれる気もするが、だからといって引き返すわけにはいかない。
「さて、先に進むか。」
ファフが俺の肩に手を置いてそう言う。
頼りになる仲間たちだと、あらためて思わされた。




