第4章 朋友 「relic⑪」
第4章 朋友 「relic⑪」
予想と反して、出現したのは人型のゴーレムではなかった。
外見の質感や色を見る限り、今までと同じミスリルで構成された体だと思える。
しかし、今回は形態がまったく違った。
二足で立ち塞がり、背後には羽らしきものまで見える。
「ドラゴンかよ···。」
アッシュが顔をしかめながらそう言い放った。
空を飛び、ブレスまで吐くとなれば、これまでのゴーレムよりも格段に厄介な相手だといえる。
天井が高くなり、空間が広くなったことを思えばその可能性は高いだろう。
俺はAMR-01を顕現させて、すぐに頭部へと照準をあて素早く引金をしぼる。
轟音とともに吐き出された弾丸は、ドラゴンの開いた口部に着弾したかに見えたが、寸前のところで角度を変えて上の空間へと飛んで行った。
「障壁だ。角度をつけて跳ね除けた。」
ファフがそう言いながら背中から紅の翼を顕現させ、空へと飛び上がった。
アッシュは一直線にドラゴンの足もとへと駆け寄り、スライディングの体勢で足首あたりを剣で一閃する。
その結果、アッシュは剣を弾かれて体勢を崩し、そのまま地面を転がってドラゴンの踏みつけを間一髪でかわすこととなった。
ドラゴンの体躯は4メートルに満たない全長で、横幅もそれほどない。
しかし、そのスリムな体型に見合ったスピードをこちらに見せつけていた。
アッシュが回避した方向へ前傾姿勢で突っ込んでいく。
大きく開いた顎がアッシュに食いつこうとした瞬間、斜め上から紅炎が首に撃ち込まれて爆発を起こす。
ドラゴンはその衝撃で狙いをそらし、アッシュのすぐ横に頭部を突っ込ませた。
俺はドラゴンの膝を狙って再び弾丸を撃ち込んだ。
「うぉっ!?」
チューンっと跳弾の音が鳴り、アッシュのすぐそばに飛んで行ったようだ。
「悪い。」
また障壁で弾かれたようだった。
どうやら、このドラゴンに銃器で応戦することは味方を危険にさらす行為となるらしい。
俺はAMR-01を空間収納に戻し、スタンスティックに持ち替えて肉薄した。
間合いに入る瞬間に、ドラゴンが体を回転させるのが見える。
風を切るような音とともに尻尾がムチのように打ち込まれた。
ギリギリのところで床に伏せてかわしたが、もっと間合いに入り込まなければ攻撃すら通らない。
一度後退してタイミングを見計らおうとすると、ドラゴンは空中にいるファフに向かって口を大きくあけた。




