第4章 朋友 「relic⑩」
その後、先へと進むとさらに結界が立ち塞がった。
何が起きるかと思えば、先ほどのゴーレムが回を追うごとに数を増やしていったのだ。
一体や二体増えたところでどうということはないのだが、さすがに二乗で増えていくのはトラップを仕掛けた奴の性格の悪さを浮き彫りにする。
最初にゴーレムが現れたときを含めて4度目の結界解除では、その数は256体(推定)という笑えない状態に陥った。
倒しても倒してもわらわらと後ろからやって来るゴーレムに、本気でイラだったのはいうまでもない。
ただ、通路の広さには限界があり、ゴーレムの巨体では3体が横に並んで立てないというおバカな展開となったため、討伐にはそれほど苦労しなかった。
ストレスと弾薬がゴリゴリと削られてしまうというマイナス面はあったが、無事にこの場面を切り抜けたのである。
「まだ次があったりはしないよな?」
「えーと、次にあったら···何体来るんだ?」
「···65536体だ。」
「「計算早っ!?」」
3人ともうんざりとした顔をしていた。
「遺跡ごと埋没させて帰らないか?」
「俺もその意見に賛成だ。」
ふたりの言葉に俺も賛成したかったが、この先に待ち受けているものは重要な何かである気がするのだ。
「いや、このまま行こう。これだけのトラップ···というか、ゴーレムまみれなのは、重要な何かを守っているからだと思えるからな。」
俺の発言に対してドン引きした顔をするのはやめてくれ。
「大丈夫だ。次はない···と思う。」
「それは希望的観測だろう。」
「まあな。」
「「····················。」」
「次は別のものであることを祈ろう。」
「いや、もう終わりでいいだろう。」
「本当にそれ。」
嫌々ながら歩を進めることにした。
しばらく行くと、周囲が少し明るくなる。
天井が高くなり、間口も急激に広がった。
「もしかして、終点か?」
アッシュがほっとしたような声を出した瞬間、俺が結界を破った感覚を覚える。
嫌な予感しかしなかった。
「いや、また来るぞ。」
「マジか!?」
「もういやだ···。」
まさか65000を超えるゴーレムが来たりはしないよなと思いながら、次の展開を見守った。
もしその数で襲って来たら、引き返して狭い通路で迎撃しつつ撤退するしかないだろう。
ここに結界を張ったのが何者かはわからないが、いい加減にして欲しいものである。




