149話 レイド vs上位魔族⑤
打ち合わせを終えると、アッシュ達はオーガ達のいる地点へと向かった。
斜面を登り、一番上にある平地に近づいていく。
「この上に奴等が集結しています。」
地形的にまずいな···上から一斉攻撃に出られると、かなり不利な位置となる。
「回り込もう。この位置は···。」
そう言いかけた時にオーガ達の雄叫びが轟き渡った。こちらに向かってくる行軍の足音が地響きのように唸りをあげている。
「まずいっ!」
罠だったのだ。
スレイヤーが集結するのを待って一網打尽にするつもりだったとしか思えない。
オーガにこんな計画的な待ち伏せを行える気長さなどあるはずがない。他の何者かが···おそらく魔族が指揮をとってこの罠を仕掛けたのだ。
久しぶりのレイドに対して慎重さが足りなかったと、アッシュは自分の愚かさを責めた。
「奴等に構わずに斜面を駆け降りるんだ!下の平地まで行って体制を立て直すぞ!!」
アッシュ達は全力で斜面を駆け降りた。
斜面での闘いは上にいるものが圧倒的に有利だ。
体重が余すことなく乗った攻撃ができる上に、視野も広く取れる。
このまま下の平地に向かったところで、別の何者かが待ち伏せをしている可能性は高いが、押し寄せてくる超重量級のオーガの大群に真っ向勝負をする訳にもいかなかった。
「魔族が出るかもしれん!前方への警戒は怠るなよっ!!」
「了解っ!」
足元に注意を払いながら全力で駆ける。
間もなく平地にたどり着くが、今のところは別の気配は感じられなかった。
間断なく聞こえてくるオーガの雄叫びと地響きのような行軍の足音。いつしか、スレイヤーの間に恐怖を植えつけていく。
「はぁはぁ···ヤバい···このままじゃ···。」
スレイヤーの1人が弱音を吐いた。このような負の感情は他の者にも伝染する。
「やる前から弱音を吐くなっ!状況に飲まれるな!!」
アッシュが伝染しかけた負の感情を一喝して断ち切る。
ギルマスとして、国内最強のスレイヤーとして、この求心力はタイガにも真似ができないアッシュの強さそのものである。
「見えた!」
誰かがそう叫んだ通り、木々の切れ間から平地が見え隠れする。
そして、そこへと出た瞬間、常人の目では捉えることのできない斬撃が、一番前を走っていたスレイヤーへと襲いかかってきた。




