第4章 朋友 「relic①」
遺跡の調査に出発した。
メンバーは俺とアッシュ、そして追加人員として呼んだファフの3名だ。
メリッサの護衛に加え、動向の知れないテトリアの襲撃に備えて、マルガレーテやフェリたちにはそのままこの国の王都で待機してもらっている。
危機的状況となった場合、マルガレーテの転移で他のメンバーと離脱するよう打ち合わせた。
この国でテトリアが蛮行を行い、それによって一般人の犠牲者を出すのは可能な限り避けたい。しかし、メリッサを含めてこちらのメンバーを失うわけにはいかなかった。
フェリやパティたちへの思い入れというのもあるが、今後の戦いでの戦力としても失うわけにはいかないからだ。
択選といえばそうだろう。
任務に支障が出ることを切り捨てたエージェント時代と、何も変わらないといわれればそうかもしれない。
しかし、それを今考えても仕方がなかった。
「ここか···。」
何もない荒野に大きな開口部があった。
周囲には仮設の野営地があり、物資などの保管場所も設営されている。
ざっくりと調査を行ったが誰もおらず、襲撃などがあった様子も確認できなかった。
「調査の報告書や日誌のようなものがあれば探して欲しい。」
地下へと進む前に何かヒントになるものがあればいい。また、結界があるとして、俺たちが打ち破れるものなのかも事前に知っておければそれにこしたことはなかった。
「これみたいだな。」
ファフが綴られた資料を手にしてそう言った。
受け取って内容を確認する。
文面は途中までが報告書、後ろの方は箇条書きにした日誌のようだった。
そこには、時系列で調査開始から直近のことまでが記載されている。
「調査内容の記載はほとんどないな。どちらかというと、結界についての解析や解除手法しか書かれていない。」
結界は無色透明で、触れると壁のようになっているらしい。
最初は物理的に破壊しようとして失敗。次に、何らかの魔道具が設置されていないか調査に時間を費やし、並行して王都から宮廷魔法士を召喚したそうだ。
結果的に魔法によって解除されたようだが、次に進んだ結界は魔法ではなく魔道具が使用されていたらしい。
そしてその次の結界は、またもや魔法によるもので今度は魔法陣が巧妙に隠されており、それをみつけてかき消したとのことだ。
「毎回結界の展開手法が異なるんだな。これがどれくらいあるかで進行速度が大幅に変わりそうだ。」
アッシュが意見を述べたが、ファフがすぐにそれを否定した。
「タイガが結界に触れたら打ち消せるのでは?」
「ああ、確かにそうだな。」
魔法を打ち消す俺の特性がここで生きるとはな。
深読みすると、グルルの力を想定しての結界ということではないのだろうか。
俺は漠然とした予感を持った。




