第4章 朋友 「相棒⑰」
謁見で本題についてようやく話をしてもらった。
ただ、予想していた通り厄介事である。
「その遺跡には何があると?」
この地にある遺跡との連絡が取れなくなったとのことだ。
一般的に遺跡は調査後に観光地として解放されることが多いのだが、そこには国の衛兵たちが現場保存のために詰めているということである。
十中八九、調査中ということだろう。
「わからないのです。その遺跡が見つかったのは何年も前の話なのですが、階層ごとに特殊な封印をされていて調査が一向に進まない。定期的にこちらと連絡をかわしていたのに、10日ほど前から音信不通になったそうで···。」
どう考えても、何かがあったとしか思えなかった。
テトリアの鎧の件と前後するため、こちらにとっても無関係とは言い難い。
「過去の文献などであたりをつけることもできなかったのでしょうか?」
「その地にそういった遺跡があることすら、何の記録もなかったです。突然周囲の地盤が沈下したとかで、調査に向かった者がその遺跡を見つけたという経緯だったとしか聞いていないのですよ。」
地下遺跡か。
妙に気になる。
南方の国では遺跡から悪魔王の体が見つかっているし、今回も似たような事案ではないだろうか。
だとすると、またテトリアが絡んでいる可能性がある。
「その結界とはどういったものだったのですか?」
「確か、三階層までは古代の魔法によるものだったと聞いています。学者や宮廷魔法士がそれを解析して破ったのですが、その先にはまた別の結界が張られていまして···。」
胡散臭さ満点だ。
「それで我々に調査を行って欲しいと?」
「天剣様なら何が相手でも打ち破れると愚考しましてな。あの遺跡に詰めていたのは雑兵の類ではなく、我が国の正規兵です。それが一個中隊ほど···。」
確かに不安を感じる規模で音信不通となっているようだ。逆にいえぱ、それだけの戦力を派遣するほど危険度、もしくは重要度が高い遺跡ということだろう。
不明瞭ではあるが、この国にとっても軽視できない重要な何かがあるということか。
詳細を知らされないのは本当に何の遺跡かわからないのか、機密として漏らすつもりがないのかのどちらかだろう。
ただ、テトリアや悪魔絡みならば放ってはおけない。
「わかりました。調査をさせていただきます。」
俺はそう言って、周辺の詳しい地図やその遺跡を知る者との面談を希望した。




