第4章 朋友 「相棒⑪」
「それに、君は変な力を宿しているよね?直接憑依しようと思っても弾かれるような異質なやつさ。それを何とかしないと僕は君の体を好きにできない。」
だからその言い方はやめろ。
「それで聡明な僕は考えたのさ。君の体を好きにできる方法を。」
テトリアの独白は続く。
俺はテトリアの言葉に鳥肌が立ち、現実逃避したくなった。
「この鎧には内側に強力な障壁を張り巡らせている。君のその力や四方のなんちゃらが通じないようにね。」
···意味不明だ。
そんな障壁を張ってどうなる?
自分を拒絶する力を封じるという意味では、間違ってはいないのかもしれない。
しかし、よくよく考えれば、それは憑依ではなくアッシュをただ鎧の中に閉じ込めたに過ぎないのではないだろうか。
「その男をどうやって鎧の中に入れたのか想像ができないのだが。」
素直に思ったことを口にした。
「簡単なことだよ。自分から鎧を着たのだから。」
「···は?」
「聞こえなかったのかい?彼は自分から鎧を着たのだよ。」
「何のために?」
「それは僕にはわからないよ。」
思念でアッシュの意識を探してみるが、存在がボヤけた感じになっていた。ただ、なぜか「嫁···嫁が···」とブツブツ言っているような気がする。
「その鎧に封じ込めてどうするつもりだ?」
意味がわからないことは深く考えないようにした。
テトリアに何か策があって、惑わすようなことを言っている可能性があるからだ。
「君の体と交換というのはどうだろうか。」
「交換してどうする?」
「何を今更言っているのかな。その体に憑依して、僕の目的を果たすのに使わせてもらうのさ。」
「···その目的というのは何だ?」
理由はわからないが、なぜだか違和感を感じた。
「この世のすべてを破滅に追いやるんだよ。」
なるほど。
違和感の正体が何となくわかった気がする。
ずっとテトリアらしい言い回しをしていたが、そこに微妙なズレがあった。
それに、似せているが気配や存在というものがなぜだか抽象的な感じがするのだ。
「ずいぶんと目的が変わってしまったようだな。」
「どういう意味かな?」
声音が変わった。
これまでの人を馬鹿にしたような言い回しではなく、えらく落ち着いたトーンに感じる。
「おまえ、テトリアじゃないだろう。」
俺は思った通りのことを口にした。
これが正解かはわからないが、奴のペースに乗せらても打開策は見えない。
ならば、違和感に忠実に状況を紐解くのが最適解だろう。




