第4章 朋友 「相棒⑤」
都市の大通りはある地点から一直線に外壁へと延びていた。
その大通りに到達すると、マトリックスを加速させて追いかけてくる悪魔たちを一気に引き離す。
バイクでいうクイックターンの要領で、外壁手前でマトリックスをUターンさせる。AMR-01を顕現させて、悪魔たちと共に追走してくる巨人の胸部を狙った。
「俺が巨人の障壁や胸部の外皮の破壊を試みる。チャンスと見たらとどめを頼めるか?」
アッシュに向かってそう言葉を放った。
「了解だ。まとめて焼き消してやるさ。」
アッシュがマトリックスを降りながらそう言う。
俺の横へと移動した頃合に巨人に狙いをつけた。
「何発か連射する。等間隔で射つから、それが途絶えたら頼む。」
俺はそう言って、巨人の鳩尾あたりに向けて引金をしぼった。
空間をつんざくような轟音が鳴り、それが終わるまでの間にボルトアクションで次弾を装填する。
すぐに狙いを同じところへと持って行き、再び引金をしぼった。
初撃で魔法障壁を破壊し、2発目は外皮に弾かれたようだ。しかし、威力は伝わったようで、巨人の動きが明らかに落ちた。
その判断中にボルトアクションを戻し終えていた俺は、3発目を発射する。
今度も弾かれたようだが、巨人の胸の辺りから出血するのが見えた。
4発目。
外皮を貫いた。
巨人は膝を落とし、その場で停止する。
「もう1発だ。」
その声をアッシュに届けたと同時に5発目の引金をしぼる。
被弾した胸部に片手をやっていた巨人は、掌を撃ち抜かれてさらに胸部の出血を悪化させた。
ピンポイント箇所に対する集中的な連撃で、巨人の外皮の一部分を破損させる。
障壁や外皮そのものの硬度、それに掌によってダメージはそれほど大きくはないだろう。
しかし、それを再生する前にアッシュの高火力がものをいう。
すぐ横から発生した蒼い炎が急速に集束し、スパイラル状に高出力の砲撃と化す。
距離が詰まっていた悪魔や巨人の群れへと蒼炎が走る。
実際には数秒程度の攻撃だろうが、長い時間をかけて敵を淘汰していくような情景が現れた。
蒼炎がおさまってきたときに、再びAMR-01で巨人がいた場所を狙う。
道に貼られた石板はガラス化するほどまで溶け、先ほどまでそこに存在した悪魔たちは煤のようになったようだ。
そして、黒焦げた塊がひとつだけ姿を現した。
「外皮に穴を開けてくれたから、内側から高熱で焼かれたようだな。」
アッシュはそう言って満足気に笑顔を見せた。




