第4章 朋友 「sudden⑭」
今のところ、襲撃や違和感を持つようなことはなかった。
それなりに進んでいるが、まだ奴が来る兆候は見られない。
たまに魔物が出没するくらいだ。
『思念体か。』
「斬れるか?」
『わからぬ。その者が邪悪な存在であれば可能かもしれんが。』
聖剣ライニングだ。
ずっと沈黙していたのだが、こちらから話しかけてみた。言葉ではなく念話のようなものなので、周囲に会話は聞こえていないだろう。
聖剣ライニングいわく、異能を持つ者が多いので黙って様子を見ていたらしい。ルルアのように自分の存在に気づく者がいるかもしれないからだそうだ。
異能というのは加護を持つ者たちのことだろう。奴にすれば神威術に通ずるものを感じているらしいが、これまでに感じたことのない力であるため沈黙していたようだ。
敵ではないというのはわかっているようだが、あまり自分の力を誇示したくはないらしい。
かつて自分を創った存在との関係値がわからないからではないかと思えた。
「邪悪といえばそうだが、本質的には子供と変わらない。自分の本能に忠実に行動するといったところだと思う。ただ、邪神と手を結んでいるというか、いいように使われている感じだな。」
『なんとも言えぬな。人に近い存在なら斬れぬかもしれん。』
「そうか。」
『ぬ、使えんヤツだとでも思っているのか?』
「そうでもない。ただ、斬ることができれば楽でいいと思っただけだ。」
実際に戦闘になった時に試すしかないだろう。
ただ、気を抜ける相手ではない分、検証する余裕があるかが問題である。
色々と考え、対策を練っている間に道程は既に半分を越えていた。
いつ襲ってくるかはわからない。
待ち伏せしやすいポイントはいくらかあったが、そんなことを考えずに襲ってくる可能性すらあった。
妙案が思い浮かばないままに目的地までの距離だけが詰まっていく。
結局のところ、出たとこ勝負になるかもしれない。
フェリやマルガレーテたちには、テトリアが出現したら俺を置いて先へ進むように伝えてある。
奴がひとりで向かって来るという都合のいい解釈はやめた方がいいだろう。
聖女というのは向こうにとって厄介な存在の可能性がある。大規模な結界や察知能力など、クレアの力を考えれば候補者とはいえメリッサを狙う可能性は十分考えられるのだ。
俺がテトリアと戦っている間に、他のメンバーはメリッサの護衛に専念してもらう方がいいと思った。




