第4章 朋友 「sudden⑬」
とりあえず、馬車を進ませながら対抗策を練ることにした。
鎧を奪ったのはテトリアの思念体である可能性が高い。
奴は鎧に憑依して転移したのではないかと考えられるからだ。もちろん断定はできないが、その可能性はきわめて高かった。
しかし、中身がない鎧が相手となると、これまでのような戦い方では倒せないのではないかという不安がある。
鎧に対してなら物理攻撃は可能だ。しかし、可動部を破損させて身動きを鈍らせることはできても、中身にダメージを与えられるかという点については疑問が残る。
これまで奴の思念体に対しては、俺の攻撃で致命打を与えられたことはない。そう考えると相当に厄介な形態であるといえた。
まずは身動きを封じる。しかし、その後をどうするか、そもそも動きをどうやって封じるかを考えなければならない。
当然、魔法障壁は使ってくるだろうが、こちらの手の内は知り尽くしているだろう。貫通力や火力の高い銃撃にも対応はしてくると予想すべきだ。
そして、どの辺で襲いかかってくるかも予想しておかなければならない。
事前に察知できるとはいえ、それなりに準備をしておく必要はある。
地図を確認し、テトリアが待ち伏せしそうなポイントを何ヶ所かにしぼる。
奴の目的は俺の体を奪うことだろうが、それ以外の意図も邪神シュティンによって吹き込まれているかもしれない。
思念体にこちらの魔法障壁が有効であるなら、マルガレーテにも協力してもらう必要が出てくるが、防ぐだけでは戦いに終止符をうつことも難しいだろう。
聖剣での攻撃はどうだろうか。悪魔や神をも討つことが可能とのことだったが、思念体を斬り裂くことなど想像がつきにくい。
様々な策を練り、その準備をタイミングよく行うために、合間を見て他のメンバーにも相談を行うことにした。
それぞれに案は出てくるが、いずれも有効打かはわからない。
しかし、どう回避しようが、どこかでやり合わなければならないのだ。
「とりあえずの足止めとして策を練った方がよいのでは?」
マルガレーテが言ったその策を中心に撃退法を考えることにした。
今回でテトリアとの戦いに終止符を打つのはやはり難しいだろう。聖剣が有効かどうかの検証も含めて迎え打つことにする。
メリッサと避難民を守るということを第一としながら、めんどうな戦いに挑むための準備を進めた。




