表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結&1109万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?
1454/1622

第4章 朋友 「secession⑭」

数時間の休息を取った後、マトリックスで偵察に出向いた。


今回は単独で行動する。


直線ではそれほどの距離はない。万一に備えて目的地までの半ばあたりの地点で、迂回するようにコースを変更した。


避難場所にしている砦から、兵士がすべていなくなった原因は掴めていない。


これから向かう砦で争乱があったかは不明だ。可能性を考えると慎重な行動をした方がいいだろう。


王都からの距離とこれまでの状況を考えると、この先に悪魔が待ち構えている可能性は低いかもしれない。国境の砦が王都の異変に気づき、偵察用の兵士を派遣させたと考えるべきだ。補給拠点を破棄した理由も、戦力を集中させるために人員を割いたと捉えられる。


ただ、それで補給拠点を完全に破棄するというのは、異常事態といえた。余程のことが起きたか、そうせざる理由があったのか。


いずれにしても何かを推測できるほどの材料はない。現地で実際に確認するしかない状況だ。


ただ、個人的にはどうでもいいことでもある。


暗部の者が聞けば怒るかもしれないが、国境の砦を偵察する目的は、そこが一時的にでも避難場所として使えるかということでしかない。可能なら食料などの補給もしておきたかった。


余計なことをあれこれ考えても、すべてを好転させられるわけではない。


俺の優先順位はメリッサを教会本部に無事送り届けることと、フェリやパティたちが負傷しないことのみである。


当初の目的である転移ルートの確立は既に完了した。状況確認についても必要最低限のことは達成している。


これ以上の厄介事に首を突っ込んだところで、解決できるかといえば難しい。


多くの人の命を切り捨てるのかといわれるとそうかもしれなかった。しかし、そこに注力して共倒れとなるのであれば、救える命だけに集中する方がいい。


大局的な考え方になるが、脅威を排除するという目的を疎かにすると、後の犠牲は天文学的な数字にのぼるだろう。


こういった部分はエージェント時代のジレンマとして根強く残っている。


違うところといえば、任務外の行動を阻害する上層部がいないという点だ。救えるものは救う。しかし、より多くの命を脅威にさらさないための取捨選択を回避することは困難だった。


結局、単独でできることなど大したことではないのだ。理想と現実の乖離に嘆くのはいつものことなのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ