第4章 朋友 「secession⑤」
建物の端に小さな格納庫の様なものがあった。
反対側も似たような造りだが、そちらは開けっ放しになっている。開いている方に近づいて中に視線をやった。
木箱が積まれ、壁には棚が据え付けられている。雰囲気から見て倉庫のようだ。
開口部前の地面に馬車とおぼしき車輪の跡がある。倉庫内の床には様々なものが落ちており、急いで何かを運び出したかのような印象を受けた。
人の気配がないことを確認してから、棚や木箱の中身を確認する。
棚には武器や防具類、備品などが少量ながら残っており、木箱の中には干し肉などの食料が少しだけ残っていた。
薬など重要なものは見当たらない。食料についても飲料や穀物類はほとんどなかった。やはり何か緊急事態でもあったのだろう。
この施設への襲撃ではなく、他の場所に移動したのではないかと思えた。
倉庫の奥にある扉を開けて様子をうかがう。
フェリを手招きして、俺のすぐ後ろをついてくるようにゼスチャーで伝える。
推測だが、外にあった紙片の焼け跡や倉庫の様子を見る限り、この施設は無人かそれに近い状態だと思う。
状況から、急いで荷造りして出て行ったと考えられるのだ。
エージェントとして撤退や逃走する敵対勢力の痕跡を何度か見ることがあったが、それに近いものだと感じた。
中の通路に入り、先までが短い左側から確認していく。
最奥に扉がひとつだけあったが、それは外へと繋がっていた。
反対方向へと進む。
倉庫と格納庫らしき空間の間に階段があった。その一番奥にも扉があったが、建物の外観を見る限り同じように外へと通じているのだろう。
格納庫にも人の気配は感じられないので、後回しにして階段を上がった。
二階は複数の二段ベットが置かれた部屋と食堂、残りが執務用の部屋のようだ。誰ひとりおらず、執務室の机は引き出しが開けっ放しのものまであった。状況がわかるような書類などは見当たらない。
ざっくりと二階を調べた後に一階へと下りた。
通路の途中にある扉を開けて格納庫へと入る。
簡易な荷車が1台、そして目的であった精霊馬車が置かれていた。人員搬送のためか、かなり大型だ。フェリがすぐに馬車の状態を確認する。
俺は周辺の確認を行い、必要だと思える物を木箱に放り込んでいく。
「大丈夫。問題ないよ。」
フェリの言葉を聞いてから、反対側にある倉庫から食料をいくらか運び出して馬車へと載せる。ここで何があったのかは気になるが、あまり時間を割いてはいられなかった。




