第4章 朋友 「blassreiter⑰」
「お、ついに出番か!」
スレイヤーギルドに寄ると、開口一番にバトルジャンキーがそう言った。
「いや、先に生き残った人たちを安全な所まで連れて行く必要がある。出番はもう少し先だ。」
わくわくした顔をしているアッシュにそう言い、ギルドのカフェスペースにいるフェリとパティを見つける。
「タイガ!?」
ふたりとも俺を見つけてこちらにやって来た。
「リルは執務室か?」
「お姉ちゃんに用事?」
「いや、パティとフェリに一緒に来てもらいたいんだ。」
俺は簡単に経緯を説明し、精霊馬車を扱えるフェリと回復魔法の使い手であるパティに同行してもらえないか確認した。
ふたりはすぐに問題ないと答えてくれる。
「俺はいいのか?」
「アッシュには、ここと王都に異変があった場合に備えてもらいたい。」
リルとサキナもこちらにいるため、教会本部に何かあってもカバーしてもらえるだろう。
「そうか。リルやサキナは執務室にいるが、呼ばなくて大丈夫か?」
「今は大丈夫だ。急ぎで戻らないと行けないから、よろしく伝えておいてくれ。」
俺はそう言って、フェリとパティとともに教会本部へと戻った。
教会本部まで移動し、マルガレーテとシェリルを伴って転移を行う。
戻ってきたときと逆のルートで経由地を通過し、休む間もなく最後に立ち寄った無人の街へと戻った。
全員グロッキーになるかと思ったが、なぜか俺以外は少し気分が悪い程度で済んだらしい。
フェリは精霊の守護で守られていたらしく、マルガレーテは転移慣れしているからだろうか。解せないのはシェリルとパティだ。シェリルは「船には弱いけど、これは大丈夫みたい。」といい、パティに至っては「おもしろかった。」とか言っている。
以前にこの中の誰かと一緒に転移したときは、俺と同じように気分を悪くしていた気がするのだが、なぜだろうか。
解せぬ。
まぁ、俺についても慣れのせいか、だいぶマシな状態ではある。とりあえず、すぐに行動出来ることはありがたい。
そう思いながらも、建物の隅でリバースしたのは内緒の話だ。考えてみると、胃が空だったからかもしれない。
こちらから発つ前に精霊馬車を探してはいたが、見当たらなかったので別の都市や街で探す必要がある。俺はフェリたちに地図がないか探してもらうよう伝え、マトリックスに乗ってルルアたちのところへ向かうことにした。




