第4章 朋友 「blassreiter⑧」
川沿いにある都市が見えてくる。
物流の拠点となるためか、それなりに規模のある都市だった。
ここに来るまでに、察知した悪魔憑きは可能な範囲で殲滅している。
討ち漏らしはあるかもしれない。しかし、後から来るであろうメリッサたちが遭遇しても、バードや暗部の3人で難なく対処出来るようにはなっているはずだ。
俺には悪魔憑きを排除することへの躊躇いはない。
元人間だからといって、牙を剥く相手に手加減はできなかった。この思考はもともと対人相手に命のやり取りをしている環境が成せる業だろう。
暗部の3人は、雰囲気や言動を見る限り諜報活動を主任務としていたのだと思う。諜報とは、敵対勢力もしくはそうなる可能性のある相手から情報を奪い、それを検証することが本来の目的である。
俺も表向きは諜報活動を担う立場だったはずだが、いつしか何でも屋になっていた。
幼少期の経験からくる慣れというのもあるが、敵は単に脅威をもたらすものとしてしか映らない。そういった特殊なフィルターが、知らない間に備わってしまったようなものだ。
生命の尊さは理解していた。
しかし、それについては自分や真っ当に生きている者についてのみだと思っている。そう認識しているからこそ、まだ人間の枠組みからはみ出さずにいられるのだ。
一度、上空から都市の様子を見て回った。
街中を緩慢な動作で歩き回っている悪魔憑きが多い。
まるでゾンビが徘徊しているような感じだが、彼らには目的がないのだろう。意思が宿っていれば何らかの行動を起こしているはずだ。
それがないからこそ、生きる屍としか認識できなかった。
少し離れた位置で地上に降り、身を隠しながら一体ずつ倒していく。
上空からの偵察で街の主要な通りは把握してある。
それに沿って気配を読みながら移動し、やがて外にいる悪魔憑きの排除を終えた。
さすがに多少の疲れは感じたが、ここで気を緩めることはできない。
屋内にいる悪魔憑きを漏れのないように排除しなければならなかった。
目につかないところに潜んでいる相手は危険だ。
気配を読める俺やルルアと違い、普通の人間は気づかずに危険に飛び込んでしまう。
より慎重に気配を読み、時間をかけながらも都市内を一掃した。
行動を起こしてからかなりの時間が経過しているが、メリッサたちはまだ到着していない。
俺は討ち漏らしがないかを確認しながら、ここから離脱するための船を探すために船着場へと向かった。




