142話 レイド 魔族vsエージェント NextStage6
蒼龍の柄に手を添える。
抜刀。
旋風斬。
剣圧で周囲の土煙を払い除ける。
旋風斬は敵に囲まれた時に広範囲への斬撃を行う術だ。軸足を起点にして全方位に刀を振るう。
元の世界で修得した居合術の1つだが、まさか視界を確保するために使えるとは思わなかった。
半径約10メートルに渡って薄くなりつつあった土煙が晴れていく。
蒼龍を鞘に納めた俺は魔族3体に向かって手招きをした。
さあ、殺り合おうか。
「人間ごときがっ!調子に乗るなぁぁーっ!!」
魔族の1体が炎撃を放った。
人間の魔法よりも見るからに強力な炎の塊が隕石が落下するような勢いでタイガを直撃。が、瞬間に消滅した。
「···なっ!」
呆気に取られる魔族に対して、にんまりと笑いながら再び中指を立てて挑発をする。
あ···良い子は真似しちゃいけないやつだ、これ。スレイヤーの中で流行ったらどうしよう。
「···魔法が消滅した···だと···。」
「···まさか···魔法が効かないのか!?」
「信じられないが···それならば先ほどの爆裂魔法で無傷であることもつじつまがあう···。」
魔族達は互いの顔を見合わせた。
「「「え~っ!!!」」」
おお、なんか魔族達がでかい口を開けて何か叫んでる。
このまま逃げたりはしないよな?飛んでいる奴等は捕まえられないぞ。
タイガがそんなことを考えていると3体の魔族達が降下を始めた。
地面に降り立った魔族達はいずれも青銅色の肌に赤い瞳と髪をしている。禍々しいオーラを放ち、こちらを凝視した。
「何だ?精神干渉なら効かないぞ。」
「「「!」」」
魔族が放つオーラは人間の魔力に干渉して精神干渉を引き起こす。こいつらは魔法が本当に効かないのかを確認するために降りてきたのだろう。
「···なぜだ?なぜ貴様は平気でいられるのだ。」
「企業秘密だ。」
「···企業秘密というのは何なのだ?」
あ、そうか。
この世界に企業なんてないわな。
「俺が編み出した新型の魔法だよ。」
「新型···企業秘密···。」
テキトーなことを言ったのに、真面目に考えている姿が滑稽だった。いかん、笑ってしまう。
「なんだ、貴様!何を笑っている!!」
「ああ、悪い。いろいろと新しい魔法があるからもっと見せてやろうかと思ってな。」
「貴様、名は何と言う?」
魔族に名前を覚えられるのはあまり気持ちの良いものじゃないな···。よし、偽名でいいや。
「俺の名前か?アッシュ·フォン·ギルバートだ。」




