表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結&1109万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?
1427/1622

第4章 朋友 「blassreiter⑤」

「俺たちは、あの状態を便宜上"悪魔憑き"と呼ぶことにした。」


「悪魔憑き···。」


暗部の男の言葉にメリッサが愕然とする。


「悪魔の血によって自らの意思をなくし、攻撃する本能だけを残した状態だ。元が人間なだけに不本意な呼称だがな。」


タイガの話によると、悪魔化の前に魔族化が前提にあるらしい。そう考えると、厳密にいえば悪魔ではないのかもしれない。しかし、似たような状態ではあるだろう。


普通の生活を営んでいた彼らの結末としては悲し過ぎる。


ルルアはそう感じて、目に涙を浮かべた。


隣には、声を抑えながらも嗚咽するメリッサがいる。いたたまれなくなったルルアは、メリッサを抱きしめた。


「それで、どうする?迂回して先に進むか?」


バードは冷静にそう言った。


彼も苦しげな表情を浮かべてはいる。しかし、ことの優先順位を違えることはない。やはり聖騎士としての義務感が強いのだろう。


「迂回しても、その先の状況は同じだろうな。」


「···船に乗るためには、彼らを排除するしかないということか?」


「そうだ。もしくは、陸路を越えるルートを考えるかだ。」


暗部の男の意見はもっともだった。


悪魔憑きとなった彼らの排除が可能なら、予定通り進んだ方がいいだろう。


これから陸路へと進路を変更すると、悪魔や魔族以外に魔物の脅威にも目を向けなければならない。


非戦闘員が多い集団としては、その選択肢は危険が大きかった。


「あの状態だと、どのくらいの戦力が必要なんだ?」


「悪魔や魔族と違い、動きは鈍い。精神的な足枷がなければ、今の戦力でも問題はないだろう。」


要は、自我をなくした人間を、手にかけられるかどうかということだった。


「やるしかないだろうな。」


一般人にやらせるわけにはいかない。これは人を守り、戦いに身を置く者の務めである。


「そうだな。俺たちも一緒にやる。」


「お、お待ちください。」


そこでメリッサが口を挟んだ。


「メリッサ様···。」


「避けて通ることはできないのでしょうか?彼らは自我をなくしているとはいえ、まだ人間なのでは···。」


「残念ですが、彼らはもう元に戻らないのですよ。放置しておくと、いずれ他の者たちが犠牲を負います。」


「そんな···。」


残酷な事実にメリッサは青ざめた。


何の罪もない人々が命を絶たれなければならない。しかも、人としての尊厳すら奪われてだ。


そして、彼らを永遠の眠りにつかせようという者たちも、深い業を背負うことになる。


メリッサは両手を組み、神に祈るのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ