第4章 朋友 「annihilation⑧」
残りは三体。
集合されてからだと対処が難しくなる。早々に近い距離にいる個体へと迫った。
建物内には補足している数しかいないだろうが、外に出れば状況は変わるだろう。
数十体までならSM-01の掃射で何とかなりそうだが、それ以上となると火力が足りない。
相手が人間なら、負傷させるだけでも戦意を喪失して離脱する者が多い。しかし、悪魔は核を破壊しなければ何度でも挑んでくるだろう。
何らかの陽動を考えるべきだと、頭の片隅に置いておく。
まずは近くにいる残りの三体を何とかしなければならない。
エージェント時代に特殊部隊の1チームと相対することがあった。その時は卓越した連携に苦労した記憶がある。
悪魔が個人主義で群れないでいてくれるのは幸いだといえるが、これまでの戦いで複数体が共に行動する場面もあった。
あまり悠長に構えてはいられない。
通路を移動する別の悪魔を目視できる位置に来た。
警戒しながら動いているのは、元人間だからかもしれない。
こういった思考をする相手は後に厄介な敵になりえる。警戒心の高い強者ほど、群れたり他を統率して動く傾向が強いのだ。
何度かの銃声で戦闘があったことは感じているだろう。
しかし、魔法は魔力で感知できても、銃による攻撃は予測できないはずだ。
HG-01で狙いをつけて胸の中心から少し下を狙った。
銃声が反響する。
視界の中にいた悪魔は、少し体を浮かせた後に床へと沈んだ。
残り二体。
今のところ負傷することなく、相手を屠れている。
気を緩ませることはできない。幸運と経験による結果だと考えるべきだった。
次の標的がいる場所へと向かった。
面倒なことに、残る二体は同じ通路上にいる。
つるんでいるというよりも、たまたま合流して銃声がした方向へ進んでいるようだ。
通路に分岐点はなく、このまま潜んでいてもすぐにこちらの姿を視認するだろう。
曲がり角に身を隠しているが、このまま待ち伏せても有利に働くものはなかった。
通路に身を躍らせて、両手にHG-01を顕現しながら引き金を絞る。
不安定な体勢のため、単発で致命傷になるかはわからない。
連続して引き金をしぼり、二体の悪魔に銃弾を浴びせた。
一体は鳩尾から上で分断し、もう片方は上半身にふたつの風穴をあけて床に倒れる。
狙いをつけたまま近づき、絶命しているのを確認した。




