第4章 朋友 「annihilation⑥」
残る悪魔の気配は5体。
今の位置からは通路がどのように形成されているかわからない。
3体目を屠るのに銃を使っていないため、悪魔たちの動きに変化はなかった。むしろ、先ほどよりも散開してその輪を縮めようとしているかに思える。
通路の壁が障害となり、一気にその距離を縮めることはできないのだろう。しかし、こちらからもその壁がどうなっているかは判断できない。不用意に動くといきなり接敵する可能性がある。
そう考えた時に、広間の反対側の間口に急速に近づいてくる個体がいた。
こちらの気配に気づいたのか、もしくは倒した悪魔の気配が消えたことで急行に転じたのかもしれない。
そして似たようなタイミングで、明確な意志を持ってこちらに向かって来ていると思われる他の一体がいることに気づいた。
そちらはすぐ近くの間口へと接近してきている。通路の壁に阻まれて時間差が出ると思えるが、このままではかちあうのがほぼ同時になるかもしれない。
広間の壁にそって視線を1周させる。
隠れるような場所はない。それに加え、間口は相手が迫っている2ヶ所以外はくぐり抜けてきた1ヶ所だけだ。戻ったところで追跡される可能性は高かった。
聖剣ライニングを所持していたワイヤーで肩からたすき掛けにする。これまでは傍らに置いて戦っていたが、次の戦闘では激しい動きになる可能性があった。携帯しておかなければ、状況によっては放棄せざるをえなくなる。
そこまでの動きを終えた時に、反対側の間口付近に迫って来ていた一体の気配を感じた。もう一体とはまだ距離がある。
予想よりも少し早いと感じながら、左手にHG-01を握る。手動で撃鉄を起こしたのとほぼ同時に悪魔が姿を現した。
瞬時に狙いをつけて引き金をひく。
轟音が鳴り響く。
銃口から放たれた弾丸が、悪魔のみぞおちに直撃してそこに風穴を開けた。
睨みつけてくる悪魔の顔を見て瞬時に間合いを詰める。
竜孔流の発動が間に合わなかったため、核を破壊するに至らなかったのだ。
そのまま連射してもよかったが、背後に急速に迫る気配があった。正面の悪魔との間合いを詰めたのは、二体目の攻撃から回避する理由もあったのだ。
刹那、上体に風穴を開けた悪魔の間合いに入る。
抜刀。
斬。
首筋から袈裟斬りに斬り捨てた。




