第4章 朋友 「annihilation④」
3体目の悪魔の方へと向かう。
途中で広間があり、奴が向かってくる通路の入口付近で死角に隠れた。
これまでは銃とナイフを使用していたため聖剣ライニングは邪魔でしかなかったが、今回は十分な広さがある。
「悪魔なら一撃で倒せるか?」
『斬り方によるだろうな。手足を狙っても当然致命傷は与えられん。琳巴を狙えばそこから波動で核を破壊することができる。首筋や腋窩部、鼠径部でも効果的だ。』
琳巴···リンパのことだろう。
リンパ管は静脈に絡みつくように分布しており、首筋や腋窩部といった所はリンパ節という集合位置になる。
聖剣ライニングのいう波動は、リンパ液を通して核を破壊するという意味だと理解した。
悪魔にとってのリンパと核は、人間でいう動脈と心臓に置き換えられると感じられる。
「その波動は即効性があるのか?」
リンパ液の流れは1秒で0.5センチメートル程度だったはずだ。それが核まで届くのを待たなければならないなら、相当な時間がかかるだろう。
『琳巴に触れさえすれば、すぐに波動は核までつながる。心配せずとも瞬殺できるぞ。』
なんとなくだが、超振動で浄化される素粒水をイメージした。
聖剣ライニングは光の属性。
その波動が悪魔の邪気を浄化して核を破壊するのだ。科学的な視野で考えた方が理解しやすい。
詳細については錯誤があるかもしれないが、その仕組みについて理解するのは時間がある時でいい。今はライニングの一振りで悪魔を倒せるかどうかを確認したかった。
「了解した。」
そのまま悪魔が訪れるのを待つ。
ソート・ジャッジメントが徐々に近づいてくる邪気を知らせてくる。やがて、明確な気配として位置関係をはっきりと認識するようになった。
広間と通路の間には、扉などといった遮るものはない。
向こうからこちらを目視できない位置で待機し、気配を完全に消す。
おそらく、あと数十秒後に接敵するはずだ。
俺は自然体でかまえ、居合の要領で柄に手をかざす。
それほど警戒した様子もなく、足音が響いてきた。
残り数歩の位置で目を閉じた俺は、相手の気配を読んで集中する。
目を開けたと同時に抜刀。
敵の首を一瞬ではねた。
悪魔は首から上を失ったまま両膝をつき、そのまま床へと倒れ込む。
音もなく、何の脈絡もない状態で絶命したようだ。
『見事だ。悪魔は無意識に魔法障壁を張るものが多い。それに、肌や骨の硬度は人の比ではないのだが、一刀両断とはな。』




