第4章 朋友 「Getaway⑯」
神威術による空間収納に聖剣ライニングを入れたかったが、勘で無理だと感じた。
生物ではないにしろ、意志を持つ存在は無理だという固定観念によるものかもしれないと思い直接確認してみる。
『それは無理だな。強引に実行すれば反発し、我の存在に綻びが生じるかもしれぬ。』
「それは良いことを聞いた。」
つまり、弱みのひとつになるわけだ。
『やるなよ。』
「···················。」
『絶対にするなよ。』
「やるなと言われたら、振りだと考えるのが関西人というものだ。」
『そ、そなたは何を言っておる。邪神を倒すのではないのか!?』
「ああ、そうだったな。」
『お主···怖いぞ。』
「冗談だから真に受けるな。」
『真顔だし、目が笑ってないし。』
どこでそんな言い方をおぼえた。
聖剣ライニングを見る。
刀に少し似た片刃剣。
居合で振り抜きやすい形状をしている。
「鞘はないのか?」
『その方が良いのならそうしてやろう。』
粉状の何かが刀身に集まって、やがて黒い鞘が形成された。
「炭素を集めたのか?」
『炭素が何かはわからぬが、空間内にある有機物を集めて具現化した。』
「そんなことができるのか。」
異世界あるあるだ。
元の世界の知識や常識でわからないことは、あまり考えても仕方がない。
鞘から剣を抜く。
刀身は黒が主体だが、刃は鈍色で光沢はほとんどない。
「どのくらいの硬度があるんだ?」
『基本はアダマンタイトよりも硬質な超剛金で形成されている。』
「超合金?」
『そうだ、超剛金だ。』
言葉のニュアンスが微妙に違うが、アダマンタイトよりも硬いのなら折れにくいだろう。ただ、居合には多少のしなりがあった方が良かったりする。
軽く振ってみた。
重量はちょうどいい。
長さは蒼龍と変わらないくらいだ。
『我が聖剣化する時は、使い手の意思をくみとる。持てる資質を最大化する形状、重量、サイズを具現化するのだ。』
「ふむ。」
手に馴染む。
柄はグリップしやすく、滑りやブレがない。
ルルアから離れた位置で試しに振ってみる。
感じた通りの軌道を描き、剣閃が走った。刃から衝撃波のようなものが出て空気を切り裂く。
「いい剣だ。」
軽く振って今のような剣風が出るなど、なかなかないことだ。剣が体の一部となり、まったく無駄のない動きができてようやく可能となる。




