第4章 朋友 「Getaway⑪」
『我は魔剣イエッケル。物珍しい人間が入ってきたので呼び寄せた。』
黒い鉄塊がそう話す。
「普通に気持ち悪いんだけど。」
「うん。」
『なっ!?』
率直な意見を述べさせてもらった。
何か意図があるのなら、怒らせた方が本音が出やすい。ルルアが絶妙な加減で乗っかってくるが、これは天然だろう。
「剣に見えないのはともかくとして、なぜしゃべれる?何かが憑依しているのか?」
『我は剣として生まれ、最初から意思を持っておる。そこに何者かの干渉はない。』
「そうか。なら、神の類ではないんだな。」
『神とは異なる特別な存在だと言っておこう。』
「特別とは?」
『は?』
「話せる以外に何か一芸に秀でているのか?例えば全人類を癒せるとか、万の悪魔を一振りで殲滅できるとか。」
『いや、それは···。』
「無理なのか。そうか、残念だ。」
「がっかりだね。」
『·························。』
「自己紹介はしてもらったし、もう行くぞ。話し相手がいなくて寂しいのだろうが、こちらも暇じゃないからな。」
俺はルルアを促して踵を返そうとした。
『い、いや、待つのだ!』
「まだ何かあるのか?」
『我を抜け。』
「そんな趣味はない。」
『趣味って···そなたが我を抜けば、相応の力を手にすることができるぞ。』
「具体的には?」
『闇魔法が使える。』
「ああ、それは無理だな。」
『無理だと?』
「俺には魔力がないからな。下手をすると、手に持った瞬間にそのおしゃべりな口が途絶えるんじゃないかな。」
『た、確かに魔力を感じぬ。』
「じゃあ、そういうことで。」
俺は再び踵を返そうとした。
『もう少し話を聞いていけ!我は悪魔王が使用した剣ぞ!!』
「悪魔王ということは、敵と見なしていいってことだな。」
『ふ、ふん。貴様なぞに何ができる···ひぎゃー!』
スタンスティックで触れてスイッチを入れてやった。
「何だって?」
『そ、そんな程度では···ひぎゃー!!』
「ん?」
『わ、我を甘く見るでない。我は···ピギャー!!!』
「タイガって、ドS?」
ルルアよ。
俺は必要に応じてこういうことをしているだけだぞ。
ドSは誤解だ。
「違うぞ。」
「え、顔が笑ってるよ。」
『ピーギャー!!!』




