第4章 朋友 「救出⑯」
ルルアに案内されて、みんながいる広間から移動できる範囲をざっくりと見て行った。
ひとつは長細い大きな倉庫として使われていたらしく、両脇に棚の跡が残っている。独立した空間のため、そこから先に移動することは望めない。
他のふたつについては、通路ではありながら瓦礫で塞がっていて容易に先に進むことはできないだろう。通気口はその両方にあったが、事前に説明を受けた通り人が通れるような大きさではなかった。
通気口に耳を近づけて物音を聞くが、各方面に連結されているのか空気の流れる音しか聞こえない。残念ながら、通気口からの脱出や手がかりを得る見込みは早々になくなったといえた。
瓦礫の堆積を測る術がないためルルアに確認すると、既に撤去を試みたが先が見えないために頓挫したという。
行き止まりとなったふたつの通路に関しては、壁や床などをくまなく調べてみた。しかし、何も見つからずに時間だけを浪費する結果となった。
「あの倉庫みたいな場所は、もっと望みが薄いよね。」
「あの場所も調べたんだよな?」
「うん。いちおう壁や床、天井に何か気になるものがないかは確認したよ。」
個人的には、一番盲点となりやすいのはああいった倉庫や物置の類だと思っている。
隠し通路や秘密の部屋などはどこにあってもおかしくない。ただ、位置関係で不思議に思う点があったのだ。
瓦礫で塞がっていたふたつの通路は、他のみんながいる広間と間口はあまり変わらない。それが左右に別れて配置されている。
そして、入ってきた通路と倉庫は対面の位置にあった。
要するに、左右の通路と同じ幅が避難所の縦軸なのである。都市との位置関係を考えると垂直に進んで来た場所になるのに、なぜかこの広間の正面が倉庫の跡地なのだ。通常は、倉庫は目立たない所か搬送に便利な位置に配置する。
また、入口と倉庫の辺は広間の横軸となり、そちらは不自然に長かった。壁の向こう側に回廊などが設けられている可能性もあるが、建物というのは正方形や長方形の方が建てやすく、耐久性も高いものだ。
実際にどうかはわからないがそういったセオリーから考えると、倉庫の左右の壁の中が別の空間になっている気がする。
「確か、倉庫の跡地は壁に板が貼られていたよな。」
「ええ。焼いて加工したのか黒かったわ。それに古さは感じるのに傷みはそれほどのものじゃなかった。」
「もう一度、そちらを調べてみよう。」
瓦礫を手榴弾などで吹っ飛ばすのは最終手段にしなければならない。距離があるとはいえ、爆破音で悪魔に感づかれ可能性があるのだ。
俺とルルアは再び倉庫へと向かった。




