第4章 朋友 「reconnaissance③」
トンプソン・コンテンダーは、1960年代に開発された銃で設計はかなり古いものである。しかし、シンプルな構造ゆえに銃身を交換すれば22口径から45口径までの弾薬が使える優れものだったりする。
アンコールはその強化型として1996年に発売されたモデルだ。それまでと同様に、銃身を交換することでフルサイズのライフル弾まで対応することが可能になった。
ストックやスコープも装着することができ、今回のようにロングバレル化も容易に実現できたのはその汎用性の高さゆえだろう。
"どついたるねん"
顕現させるためのキーワードをつぶやき、右手にHG-02を握る。キーワードへのツッコミは不要だ。
ストック及びスコープは未装着だが、ロングバレル化したことにより銃身はかなり長い。
左手を肩の辺りまで上げて巻き込み、その上を台座としてHG-02をのせる。試射では片手でも撃つことができたが、やはり反動が大きかった。
前方から迫るキラーベアとの距離は30メートル強といったところか。
巨体とスピードにより、まるでトラックが急迫してくるような圧迫感を受けるが、幸いにもここは斜面ではない。これが下ってくるような傾斜だと、撃った後の回避先も考えなければならないがそこまでのものではなかった。
バァーン!
腹をつんざくような轟音が鳴り響き、周囲の山にこだまする。
やはり反動で腕が跳ね上がったが、狙いとそれほど違わない位置に着弾したようだ。
キラーベアの顔面を狙った700ニトロエクスプレス弾には、弾頭に十字の傷を刻んでいた。ホローポイント弾のように着弾後に弾頭が潰れやすく、破壊力を増すための措置である。
胸部から上を吹き飛ばされたキラーベアは、その場で体を浮き上がらせた後に棒のように倒れた。HG-02は巨体の突進を止めるのに十分な威力だと証明してくれたのだ。
前の世界でなら、発射時の反動で間違いなく自分の体が後ろに飛ばされていたはずだが、大して体のバランスを崩すことなく立っていることができている。
銃身を折り排莢する。
空薬莢は念のために持ち帰ることにした。
すぐに前方へと走り出して、1kmほど先でマトリックスを顕現させて乗りこんだ。
あまり冒険者に見られて騒ぎにはされたくなかった。冒険者は広域に活動するため、どこでどういう風に噂が広まるかわからないからである。




