132話 レイド 魔物襲来④
ニーナと一緒に朝食を取った後にギルドに向かった。
「これ、プレゼント。」
別れ際にそう言ってニーナがくれたのは帯剣ベルトだった。
「蒼龍とバスタードソードを同時に装備するのにはいろんな方法があると思うけど、その帯剣ベルトなら馬に乗る時でも問題はないはずよ。」
たすき掛けにして背中に剣を装着するのは持っているものと同じだ。違いは両剣が平行に同じ向きに吊るすようになっていること。二本とも右肩の方に柄があり、左の腰の方に剣先が伸びている。このタイプなら乗馬時に邪魔にはならないし、それぞれを左右のどちらの手でも抜くことが可能だ。防具屋にはなかったので、ニーナの心遣いがありがたかった。
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ。」
「うん。そのかわり、どんなに強い敵が相手でも必ず倒してね。」
その言葉でフラグが立ったかのように、この後に激しい闘いが巻き起こるとは知るよしもなかった。
「タイガ!大変だよ!!」
ギルドに到着するなりパティから緊張を帯びた声がかけられた。
「どうした?」
「前に巡回に行った付近に大量の魔物が発生したみたい!」
先日の魔族とオークが出没した地域だ。
「被害は?」
「今はまだ大丈夫みたい。でも近くの村に住む猟師が100体近くのオークが山間部を歩いているのを見たって。」
すぐにギルドホールに向かうと職員に声をかけられた。
「ギルマス補佐!すぐに出発は可能ですか?」
「ああ。オークが大量発生したって?」
「はい。たった今、巡回に出ていたパーティーからも連絡がありました。オークの出没地点に近づくと報告以上の数を確認したと。」
「何体くらいだ?」
「300体以上はいると···。」
「わかった。俺達はすぐに出発する。現場にいるパーティーには交戦はせずに監視役を2名残して近くの村で待機。魔物が村に近づくようなら住人の避難を優先するように伝えてくれ。」
「わかりました。数が数ですのでレイドを発令します。増援可能なパーティーに参加を募り、順次現地に向かってもらいます。」
レイドとは強力な魔族、魔物と対峙する時に発令される全体への召集任務だ。
「頼む。何かの陽動の可能性もある。アッシュに相談をして戦力を割きすぎないようにな。」
俺はパティ、バーネット、シス、テスの4人と馬を借りてすぐに出発した。
「オーク300体なんてありえるのか?」
「普通なら考えられないよ!出ても十数体がいいとこなのに。」
バーネットの質問にパティが答える。
先日討伐した魔族達に関連している可能性があった。何らかの罠かも知れない。
「オーク300体···対応できるかな?」
シスが不安そうに聞いてきた。
「大丈夫よシス。修練でやった連携どおりにやれば、あとはタイガさんが壊滅してくれるわ。」
「はは。その通りだね。」
「やっぱりタイガはめちゃくちゃ強いんだな。闘いっぷりを直に見れるのが楽しみだぜ。」
シス以外の3人よ。
俺はまだケガが完治していないぞ。
忘れていないか?
「そ···そうですよね。タイガさんならオークの1000や2000くらい。」
いや、シスよ。
そんな数はさすがに相手をしたくないぞ。
街を離れ、俺達はそんなことを馬上で話す余裕もなくなり全速力で目的地に向かった。
ひさびさのはっちゃけバトル展開やります。
皆さんのストレス解消になれば良いなぁ。




