第4章 朋友 「revisit④」
「しかし、変なポーズだな。」
「自己顕示欲が強いのではないでしょうか。それともナルシストとか。」
「····························。」
言いたい放題だな。
決めポーズの1種だが、こちらの世界ではこんなポーズをとる奴はいない。ダンスも社交ダンスのようなものが主流で、ストリートやクラブ系のものはないから認知されるわけはなかった。
「2人には話していなかったが、黄竜から聞いた話ではかつて天魔という存在がいたそうだ。」
俺は黄竜から聞いた話の一部を2人に話すことにした。
「天魔···ですか。それは、悪魔王とは異なる存在なのですか?」
「悪魔王の中にサタンという者がいたそうだが、それが天魔であるとされているらしい。」
「サタン···それは悪魔王の中でも最強といわれた存在ではないか。」
「ファフはサタンを知っているのか?」
「伝承で聞いたことがある。俺が以前暮らしていた時代では、実在していなかったはずだ。」
「サタンは堕天使ルシファーと同一の存在だそうだ。堕天使の長でもあるルシファーは、進歩と知的探究心の神に昇華する直前で身を落としたともいわれている。元々は光を象徴する存在だとも。」
「だから、天魔なのですね。」
「なぜルシファーが堕天使となり、悪魔王サタンと名乗ることになったか詳しくは知らない。ただ、かつてのサタンは、他の悪魔王と決別してわずかな魔族を従え独自の生き方をしたそうだ。」
「独自の生き方?」
「理由はわからないが、神とも悪魔とも対立した存在であったそうだ。」
ルシファーは創造神に対して謀反を起こし、神界を追放された。この辺りはかつていた世界と同じように語り継がれているそうだ。神や人知を超えた存在とは、あらゆる世界を超越した事象である。認識が共通していたとしても、不自然ではないと思える。
「もしかして、この像がその天魔だと?」
「おそらくな。黄竜いわく、すべてを破壊するルシファーズハンマーという固有の術式があったそうだ。それは神の術と匹敵する威力を秘めており、術式展開には天を指差すポーズが象徴的だったらしい。」
余談だが、ルシファーズハンマーというとある漫画で登場したバイクが有名だが、あれはかつてのロードレース用に作られたハーレーダビッドソンのXR-TTにXR1000のエンジンが載せられたモデルの名称がルーツとなっている。その元祖ルシファーズハンマーは、当時レースを席巻していた日本やイタリア製バイクに対して「侵略者たちに激怒した魔王ルシファーが、ハンマーを振り下ろすがごとく彗星を落としたというアイルランドの伝承を重ねてその名がつけられた」という。俺がかつて、エージェントとしてそう呼ばれていたのも、似たような意味合いからだそうだ。
話を戻すが、黄竜からは念を通じたある種の回想シーンのようなものを見せられた。それがルシファー、悪魔王サタンの躍動する姿でもあり、天魔ディアブロの勇姿だと聞いている。




