第4章 朋友 「prepare oneself for battle③」
「そういえば、WCFTー01というのがあったと思うが。」
「あれがどうかしたのか?」
「少し興味があってね。しばらく預からせてもらえないかな?」
今はまだ魔石の補充ができていなかった。当分の間は使用することもできず、クリスになら預けても問題はないだろう。
「かまわない。改良出来るならして欲しい。」
そう言って、WCFTー01を取り出して机の上に置いた。
「改良できるかはわからないが、要望を聞いておこうか。」
「効果を考えれば仕方がないが燃費が悪い。多少は大型化してもかまわないから、効率化を狙えるならして欲しい。」
「ふむ、他には?」
「そうだな。今は連続射出しかできないが、セミオートで撃てるとありがたいかな。」
「機構をチェックしてみなければわからないが、単発で撃てるなら燃費効率は上がるだろう。それに圧縮して射出すれば威力の増強も可能かもしれないな。」
「無理かもしれないが、竜孔流そのものを撃ち出すことはできないか?」
「竜孔流とはオーラのようなものだろう。何かに充填出来たりはするのか?」
「いや、無理だ。」
「ふむ···あれは弾丸に纏わせて撃つことが出来たと聞いたが、どういった金属なら可能だ?」
「鉄でも可能だが、ミスリルが一番伝導率が良いと思っている。」
「少し検証が必要だな。」
クリスはそう言って、いくつかの素材を取り出した。
いずれも小さな鉛筆のような形をした鉄やミスリルの素材そのものだ。
「これにその竜孔流を流してみてくれないか?」
「流すだけでいいのか?」
「尖っている方の先端に薬品を付着させてある。反対側の端から流せば、それでどの程度の伝達をするのかある程度はわかるはずだ。」
「そんな薬品があるのか?」
竜孔流に反応する薬品などあるのだろうか。
「ふふん、すごいだろう。これはこちらの世界にしかないオーラフィル・タグリッソという薬品なのだ。本来は魔力を測定するために開発したのだが、ペトミンという種の植物に含まれるオーラミルミルという成分を含有させることで、オーラの動きを確認できる効果を得ることができた。あまり需要はないが、これにより···。」
しまった。
また余計な扉を開いてしまったようだ。クリスの解説が止まらない。
とりあえず、聞いている振りをしながら別の事を考えることにする。解説を始めたら長いからといって意識を奪う訳にもいかないので、飽きるまで放っておくしかなさそうだった。




