130話 レイド 魔物襲来②
「えっ···ここを使っても良いのかい?」
ダルメシアンはギルド近くの店舗を見て驚いていた。
「ああ。昨日に買って権利も俺に移ってる。スケルトンだから内装を仕上げる必要はあるが、話を詰めれば3ヶ月以内には開業できるだろう。」
「····すげえな。」
広さはおよそ30坪だから日本式に言うと60帖くらいだ。
「あと、雛型として店内の配置図を作った。動きやすいかどうか見てくれ。」
製図に近いものを昨夜に作成した。
前もって店舗内の内寸を計って100分の1に縮小して仕上げてある。方眼紙がアッシュの執務室にあったのでそれを利用することで作業は短時間でできたのだ。
スレイヤーギルドになぜ方眼紙があったのかと言うと、レイドで多数のスレイヤーが投入された場合のキャンプ地の配置図や、都市防衛時の防護隊列の編成に使用するかららしい。同じように100分の1の縮図で鳥瞰図のようなものを作り、任務の作戦会議や設営時の効率化をはかっているらしい。ちなみにこの世界での測量単位はミリやセンチメートルなので違和感がない。
「良くできているな。タイガさんは本当にスレイヤーかい?設計士みたいだ。」
「少しかじったことがあるだけだ。大まかな雛型ができたら本職に依頼をして工事をさせるから検討をしてみてくれ。」
俺が作った図面ではオープンキッチンにしてその前にカウンター席を設置している。それ以外に個室が2つとテーブル席が配置されているので、全部で60席前後の収容計画となる。
「この規模なら人も何人か雇う必要があるな。」
「そのあたりは任せる。開業するまでは最低限の給与と経費は出すから頼む。」
「ああ。あんたはギルドの仕事もあるもんな。これは気合いを入れて取り組まないと。」
ダルメシアンはやる気十分のようだ。
「内装に関しては時間があれば手伝うよ。そういう作業は好きだからな。」
手先は器用だ。
鉄パイプと廃材でお手製の銃を作ったり、木でバリケードを作ったりする技術を持っているからだ。
「わかった。同時進行でメニューも考えてみるよ。仕入れ先には心当たりがあるから、調達できる食材のリストアップをしてからだけどな。」
現段階で可能な限りの打ち合わせを行ってからダルメシアンと別れた。
時間が経つのが早い。
もう夕暮れ時だった。




