第4章 朋友 「who the hell are you⑤」
遺跡には入ったばかりだ。
この先がどこまで続いているのかはわからない。序盤で時間をかける訳にもいかなかった。
俺はHGー01を両手に顕現させて、トロール6体の顔面を撃ち抜いた。
轟音が鳴り響き、空間にこだまする。
驚異的な回復力を持つトロールだが、さすがに脳を破壊されては力を使うこともできず、首から上を失ったまま絶命した。
その時だ。
HGー01の大音響に呼応するかのように、遺跡の奥から得体の知れない咆哮が聞こえてきた。
どのような存在かはわからないが、まるでHGー01の轟音が気に入らないとでもいうべき苛立ちのようなものまで感じられる。
「何だ?」
「わからない。しかし、今の咆哮は···。」
ファフが考え込むような表情になった。何か心当たりがあるのかもしれない。
「聞いたことのある咆哮なのか?」
「定かじゃない。しかし、あの声は竜種のような気がする。」
そう言われてみても、俺には竜の咆哮かどうかはわからなかった。
ヴィーヴルとしばらくの間一緒に過ごしたが、咆哮を聞くことはなかった。暴虐竜と呼ばれた竜人リーラからも同様だ。
しかし、この遺跡の奥に竜種がいるというのは厄介と思える。
いくら竜種とはいえ、これだけの邪気にさらされて正気を維持できるのだろうか。むしろ、狂気をもってこちらと敵対するイメージしかわかなかった。
「もし竜種がいるとして、そいつがこの邪気の原因とは考えられないか?」
ちょっとした可能性をファフに問う。
「何とも言えないな。可能性はあるだろうが。」
「ファフが知っている竜というのは好戦的なのか?」
「人と同じだ。好戦的なのもいれば、穏やかなのもいる。ただ、この奥にいるとなると、前者か目の前に立つ者を否応なしに滅ぼそうとするかのどちらかのように思う。」
「まぁ、そうだろうな。」
その竜種がこの遺跡に陣取るボス的な存在ならともかく、その先にも何かいるならあまり戦いたくはなかった。
勝てたとしても消耗するのは目に見えている。
しかし、だからといって引き返すという選択肢はなかった。




