第4章 朋友 「berserkr⑰」
結界が少しずつ反応している。
水にできた波紋のように、その表面に小さな揺れが広がっているかに見えた。
しかし、ただそれだけだ。
まだ足りない。
慎重に竜孔流を強めていく。
振動が大きくなるが、結界そのものを壊すには至らないと感覚が告げていた。
このままでは自身が消耗するだけに終わるだろう。しかし、この手法が間違いではないとも理解していた。
再び目を閉じて今の状態をそのままに、第六の竜孔アージュナーに竜孔流を注ぎ込む。
アージュナーは理性から感性に切り替える孔。そして、第七のサハスラーラをも活性化させる。
俺の持つのは本来はグルルの特性だ。
竜種が持つものとは似て非なるもの。呼称としての慣れで竜孔や竜孔流と呼んでいるが、グルル固有の機能を有している。
それは竜孔と似通ったものかもしれない。しかし、知見や経験則はグルルの持つものと同調する。
第六のアージュナーで感性による認識を行い、第七のサハスラーラで意識を解放させた。
感覚視で見る結界は視界とは異なる反応を示していた。
その理解が結界の構成を丸裸にする。
半円形状に形を成した頂点の位置。
そこがこの結界の急所であると直感で理解した。
アージュナーの超感覚とサハスラーラによる鳥瞰により、どう攻めるべきかを脳が理解したのだ。
両掌からの竜孔流を一段階引き上げ、振動の発生を強くする。
同時に急所への刺激を与えるために、追加の衝撃波を加える。
「アイ~ン!」
第五の孔を再び発動。
結界の頂点部分がミシミシと軋む。
もう一押しだと判断した。
「アイ~ン!」
「アイ~ン!」
「アイ~ン!」
「アイ~ン!」
口からのアイーンの連続発動。
羞恥心などはかなぐり捨て、過去最高のアイーンを放った。
「アイ~ン!」




