第4章 朋友 「berserkr⑬」
竜孔流を浸透させた枝木が槍のように飛び、結界に突き刺さる。
ドーン!
轟音が鳴り響き、結界が揺れたように感じた。
枝木は衝突した瞬間に消滅したが、竜孔流はそのまま結界の一部に波紋のように広がり小さな振動を起こしていた。
「···ダメだな。多少は効果があったように見えるが、結界は破れない。」
「それでも、魔法や物理的な作用に比べると反応は見られました。」
マルガレーテが言うように、ファフが試した時よりは反応が出た。しかし、今の程度ではわずかなものでしかない。
全力で竜孔流を練ったとして、結界そのものを破壊できるかはわからなかった。
「少し調べて検証してみようか。」
無闇に力を使っても非効率な気がした。
結界に近づいて衝突した部分を見てみるが、何の痕跡も見当たらない。
「結界にも方式が何種類かある。力を分散させるものもあれば、強固さで対外的な力を弾くものもある。この結界は前者の色合いが濃い。ただ、それ以前に物質や魔法そのものを消滅させる効果があった。」
魔法が使えない俺にとって結界の仕組みはよくわからないが、ファフの説明はわかりやすい。目の前にある結界の作用が、どういったものかを理解しやすかった。
「二重か複層の効果があるということか?」
「そうだな。俺が放った炎玉でも魔法そのものは消滅したが、わずかだが魔力は結界に広がり分散したかに感じた。初めてみる類の結界だが、ある意味でタイガの性質に似ている気がする。」
「俺の性質?魔法を無効化するやつか?」
「ああ。厳密にいえば構成は違うのだろうがな。タイガの場合は、魔力がない事で発動条件が整わず魔法そのものが解除される。この結界もそれと似た効果のような気がする。魔法だけではなく、タイガの持つグルルの力にまで有効だった理由はわからないが。」
ファフの理論では魔力や竜孔流が反応するキー、いわゆる起爆剤の役割を果たすものがないということになる。
魔法は対象の魔力に反応してその効果を発揮する。術式や詠唱はその効果の種類を決めて発動するもの。それが対象の魔力と結びつき起爆するといった仕組みだそうだ。
しかし、竜孔流はシステムが違う。
魔法のような発動のためのキーは···
「そうか。魔法も竜孔流も別物ではあるが、媒介するものは同じようなものか。」
何となくだが、魔力や竜孔流が分散する仕組みがわかった気がする。
あとは、その手前で起こる攻撃が立ち消える現象を考察する必要があった。




