第4章 朋友 「berserkr⑫」
爆発があった地点へと急行した。
到着するよりも先に、緩やかにすり鉢状となった土地の形状が目に入る。
2〜3km程の広がりを見せ、深さは数十mといった所だろうか。
木々の間から、底面に遺跡のようなものがあるのが見えた。
「タイガ様。」
マルガレーテがこちらと周囲に目を配りながら声をかけてきた。ファフも傍にいる。
それなりの爆音だったにも関わらず周囲は静かだった。生き物の気配も感じる事はない。
「遺跡か?」
「墳墓のようにも見えます。合図を送った後も、何者かの気配を感じることはありませんでした。魔族の拠点とは異なる可能性もありますが調査すべきかと。」
合図のための魔法は、潜伏しているかもしれない魔族を誘き出す意図も兼ねていた。しかし、何の反応も見られなかったことを考えると、別の場所に拠点があるのか既に魔族がこの地域に存在しないかのどちらかだろう。
どちらにせよ、警戒を解くことはない。
「結界が張られている。普通の魔法とは違うようだ。」
ファフはそう言って、小石を遺跡の方に向かって投げた。
すり鉢状となった地形の外周部分まで飛んだ小石は、結界らしき壁に当たった瞬間に粉状となる。
物質を分解するような性質を持つ結界だろうか。小石が弾かれなかったところを見る限り、触れると取り返しのつかないダメージを負いそうだ。
ファフが右手から紅炎を発し、球状にして放つ。
その炎玉は結界へと真っ直ぐに進み、やはり小石と同じような場所で消滅した。
「何となくだが、テトリアが持っていた剣と同じような特性に感じるな。外部からの力を無にするような感じか。」
テトリアが持っていた剣は全ての攻撃を無力化すると言っていた。小石が粉状になったのを見ると違うものかもしれないが、もし同種のものならここでもシュテインが絡んでいるのかもしれない。
結界へと近づいた。
直接触れなければ害はなさそうだが、どうやって結界の内側に入るかが問題となる。
ソート・ジャッジメントに反応がない所を見ると、邪気などが混じったものではない。しかし、テトリアの剣と同種のものなら、竜孔流で破れたりもしないだろう。
考えても埒があかないので、軽く試すつもりで近くの木の枝を切りとりそこに竜孔流を注いだ。
生木は水分を多く含んでいるため、剣などに纏わすのとは違い内部に浸透させる事ができる。
ある程度の量を注ぎこんでから、投げ槍の要領で結界に向かって投げ込んだ。




