第4章 朋友 「berserkr⑧」
「可能か?」
「それなりの設備があれば問題ない。」
クリスに連絡をとり、ビルシュから受け取った魔石について話をした。
「設備か···。」
「新しい武器の製作も必要だろう?」
資金はスレイヤーで得た報酬がほとんど手つかずで残っている。問題は、場所と腕の良い鍛治師の確保といった所か。
「すぐには動けないが善処する。」
そう言って通信を終えた。
クリスは俺の所持している銃器類の詳細を知っている。各パーツを製作した者の腕前を褒めていた程だ。
しかし、あれらを製作した鍛治師を集めるのは難しいだろう。
「設備が必要なら、教会で準備するよ。」
「できるのか?」
「場所くらいはすぐにでも提供できる。他に必要な物は、リストアップしてくれるならそれを実現できるように考えるさ。」
通信を手伝ってくれたビルシュは真面目な顔でそう答えた。
「細々とした備品や道具はクリスに聞かなければわからない。それと、アダマンタイトやミスリルといった金属類、火属性の魔石なんかが必要だ。」
「それも何とかしよう。」
「細かい金属部品を製作できる腕の良い鍛治師や、魔道具に詳しい技士もいる。」
「信者の中にそういった者もいると思うよ。」
俺はビルシュの目を見た。
「何か懸念でもあるのかい?」
「···兵器類の製作に信者を携わらせても良いのか?」
それを聞いたビルシュはにんまりと笑った。
「これは聖戦だよ。しかも、人類を守るためのものだ。信心深い者なら喜んで労力を提供すると思うけどね。」
こちらにとってはありがたい話だが、一歩間違えれば神の教えを説く者が人を殺める道具を作らせようとしている状況だ。
「君は変な所で真面目だね。大丈夫だよ。箝口令は敷くし、そのクリスという男なら君にしか使えないプロテクトをかけることも可能なんじゃないかな。」
「そうだな。」
相手は悪魔や魔族だ。
敵に対して慈悲を感じることはない。
ただ、高い技術というものは財貨に変えられるという点で人を狂わす可能性があった。
兵器としてどこかの国や組織に売り払おうという者が出てこないとはいえない。
たとえ信心深い者でも、生活に困窮すれば何をするかはわからないのだ。
その件については、クリスに話して事前に対策を施す必要があった。




