第4章 朋友 「The fool again⑩」
「断固拒否するぞ。」
テトリアの訳がわからない言葉にそう答えた。
俺にとって奴に体を奪われることは死と同じだ。そして、それ以上に不名誉極まりないことに違いない。
例え容姿を変えられたとしても、奴の欲望の道具にされるわけにはいかなかった。
「ふっ、君は誤解している。君の体が欲しくて、僕が手を出せないと思っているんだろう。」
とてつもなく誤解を生むような発言はやめろ。
知らない者がその一言を聞くだけで、俺は変なレッテルを貼られてしまう。
「·····································。」
「痛いのは最初だけだからさ。」
こいつ···。
「おまえが変態なのはどうでも良いが、そこに俺を巻き込むな。」
危ない会話は、他に人がいなくてもその辺にしてくれないだろうか。関連する余計なイメージが頭に流れ込んでくるだろうが。
「誰が変態だ!?」
いや、おまえだよ。
「そんなことより、これでもう俺に攻撃はできないだろう。」
「ふふん。別に瀕死の状態でもかまわないさ。何ならちょっとくらい死んでもらっても大丈夫さ。」
ちょっとくらい死ぬってどんな状態だよ。
「そうか。なら、仕方がないな。」
「賢明だね。」
「何がだ?」
「僕には敵わないと思って諦めるんだろう?」
「それは死んでも嫌だな。」
「なら死んでくれたら良い。」
テトリアは剣を再び構え、獰猛な笑みを見せてきた。
「死んだら困るのはおまえの方だ。」
「だから言っただろう?少しくらい死んでいても何とかなるって。」
「それは嘘だな。」
「また君の訳のわからないハッタリかい?」
「ハッタリ?本当にそう思うのか?」
俺はテトリアに負けないくらい凄みのある笑みを浮かべた。
「ふ···ふん。その手には乗らないよ。」
「死といっても、一般的な死とは異なる場合がある。」
「は?」
「おまえの願望のために絶対に必要な部位があるはずだ。」
「···絶対に必要な部位?」
返答せずに、にやにやと笑ってやった。
「ま、まさかっ!?」
「男としての死はお望みですか?」
俺はそう言って、破龍を向けた。
ある場所に···




