第4章 朋友 「The fool again④」
HGー01の火力と竜孔流を組み合わせた一撃が簡単に弾かれてしまった。
対悪魔用の最大火力を破られたのは大きい。あの剣が尋常の物ではないというのは容易に想像ができた。しかし、障壁を破壊してからの一撃を防がれたのだ。事前に対策が準備されていたと考えられる。
邪神シュテインか、その指示を受けていたものが俺を監視でもしていたのだろうか。
「くくく。君の攻撃はすべて無効化できるのだよ。」
奴が初めて言葉を発してきた。
外観とのギャップが激しい口調。やはり想定していた相手のようだ。
「随分といかつくなったものだな。」
今のままでは対抗手段がない。現状を打破する方法を考えるために時間を稼ぐことにした。
「そうだろう。君を倒すためにはこれくらいの媒体が必要だったからね。」
相変わらず、感情を逆撫でするようなニタニタ顔で笑っている。
「俺を倒すため?」
「そうだ。君を絶望の淵に叩き落とすために僕は来た。」
「稀代の英雄といわれたおまえが、人間を辞めるとはな。」
そう、こいつは俺の片割れといわれている男。かつての英雄テトリアだ。
神アトレイクと共に邪神シュテインに抗った過去があるにも関わらず、今は逆の立場にいる。
能力はともかく、性格が破綻している狂人だといえた。
「苦労したよ。かつての悪魔王を媒体にしようと探し回ったら、体と力が別々に封印されていたのだから。」
「その体はどこで手に入れた?」
「どこかの何とかいう国に封印されてあった。ようやく見つけたと思ったら、ただの抜け殻だったから腹が立ったけどね。」
今の言葉で、ある程度の事が推測できた。
南方の小国が悪魔王の体だけを封印していたという事だろう。封印が解かれてもすぐに脅威とならないように、何者かが精神と能力を宝珠に移して封印しバラバラに保管する事を思い至った。それでアトレイク教会の分教会に宝珠だけが預けられたということだ。
「その国をどうした?」
「力が封じられた場所を探るために、偉そうにしていた奴らの精神を弄ってやった。そのまま滅ぼすのは簡単だったけど、どうせなら混乱させたまま周囲に戦乱を起こしてもらうことにしたのさ。」
「おまえか···。」
元凶はこいつだ。
邪神シュテインの入れ知恵かもしれないが、あの国が他国に侵攻しようとした背景にこいつの暗躍があったのだ。どういう結果を生むかわかっていながら楽しそうに笑うバカに、腹立たしい思いだけが募った。




