第4章 朋友 「The fool again②」
地表まで残り10mくらいという所か、降下してきた奴の邪気が高まるのを感じた。
胸部中央のやや右下辺り。そこから両腕に向けて邪気が流れるのがわかった。その両腕が跳ね上がった瞬間に横に体を投げ出す。
地面が爆ぜ、土が火柱のように上がる。
相手を見ることなく、連続した邪気の波動を感じて回避行動に集中した。
周囲の至る所で同様の衝撃が断続的に続き、辺りはすぐに土煙に覆われる。
閃光手榴弾のピンを抜き、上方へと投げた。
奴の攻撃が閃光が迸った瞬間に止まる。
ドッパァーン!
ドッパァーン!
HGー01を取り出して邪気を感じる方角に連射する。
当たったとしても致命傷にはならないかもしれないが、どの程度の攻撃が有効なのかを知る事は必要だった。
ゴッ!
着弾の衝撃音が耳に伝わってくる。
生物にあたるような響きではない。固い岩やコンクリートの壁に着弾したかのような衝突音。
土煙を抜け出し、視界が広がった時に邪気の方角に視線をやった。
無傷だが、体勢がやや崩れているのが見てとれる。
傷を負わせる事はできなくとも衝撃は通ったようだ。
しかし、不意をついた攻撃にも関わらず、障壁は常時展開されている。やはりこちらの手の内を知っていると考えるべきだろう。
HGー01で狙いをつけて引き金を絞ろうとした。
「!?」
姿を消した。いや···
俺は前方へと身を投じる。
背後から邪気を感じたのだ。風が唸る音が聞こえるが、奴が何らかの攻撃を放ったのだと感覚が告げていた。
片手を地面に突き、それを起点に別の方角へと体を投げ出す。
すぐ横を黒い稲妻のようなものが走る。
回避に集中しながら間合いを取った。
SGー01で散弾をばら撒く。
着弾する手前で、散弾が潰れて跳ね返るのが見えた。
やはり障壁の類だ。
SGー02に持ち替えてスラッグ弾を連射した。
散弾と同様に手前で弾かれるが、奴は衝撃を受ける度に体勢を崩していた。堅牢な障壁ではあるが、やはり高威力の銃弾は衝撃まで殺せないようだ。
連射しながら間合いを詰めていく。
奴は壊れた人形のように、着弾の度に体のバランスを崩しながらゆっくりと後退していった。
12発を打ち尽くしたと同時に、両手にHGー01を握る。
頭部に狙いをつけて全弾発射した。




