第4章 朋友 「Intension③」
ドンッ!
俺はSGー01で魔族の胸から上を吹き飛ばした。
魔族達も魔法による障壁を常時発動している訳ではない。
戦闘時、もしくは警戒している時にしか発動しないのだ。
気配を消して不意をつけば、単独への攻撃は難しいものではない。
この王都に攻めてきた集団のほとんどは、アッシュ達の活躍により壊滅状態となっている。
そういった面で、想定以上に強力な火力を持つ加護者達に対して誤算が生じていた。
俺の考えでは、状況を終息させるためには、もっと時間がかかるものだと想定していた。
しかし、大規模な攻撃と予想以上の連携で、魔族の侵攻は迅速に対処されることとなった。
今は、バラバラに逃走した魔族を個別に追って屠っている。
他の者でも気配察知はできるが、聖属性魔法士も含めて俺のソート・ジャッジメントが最も精度が高いというのがわかっている。そこで、俺と加護者達は3チームに別れて残党狩りを行うことにしたのだ。
個別に逃げた魔族の二次被害を防ぐためには、今のタイミングでやっておくべきだと判断した。
俺はパティと組み、広範囲に索敵を行いながらアッシュ達に情報を共有する。とはいえ、逃走した数が少なかっため、事後処理も間もなく完了しそうだった。
「完了だ。」
しばらくしてアッシュからの連絡が入った。
逃走した魔族は追撃を恐れて身を隠しながら動いていたらしく、それほど離れた位置までは移動していなかったのが幸いといえる。
何せ集団で逃走した奴等は、サキナやファフ、マルガレーテの追撃を受けて全滅したのだから、その行動も不自然なものではなかった。
以前まで魔族の脅威を受けていた人間と同じ行動をとっていたのは皮肉なものだといえる。
「了解だ。俺は各ポイントに転移して最終確認をする。みんなは王都に先に戻っていてくれ。」
俺はそう言って、パティを抱えながら何ヵ所かのポイントに転移した。
ソート・ジャッジメントの有効範囲は有限だ。何kmかごとに移動しながら、察知できる範囲でしらみ潰しにするしかない。
万全を期すなら最初に行った事をもう一度反復し、安全を確認するしかなかったのだ。
「ん···。」
「大丈夫か?」
近距離間での転移とはいえ、さすがに慣れていないパティは気分が悪そうだった。
「平気。」
「これで最後だ。もう少しがまんしてくれ。」
俺には通信用の水晶が使えないため、パティには最後までつきあってもらうことになった。
こういった不便さは早めに解消した方が良いだろう。
事が終わったら、クリスに俺が使える通信手段を講じてもらうことにした。




