第4章 朋友 「加護者⑬」
「魔族です!魔族が集団で現れました!!」
通信が魔族の出現を伝えてきた。
「敵の規模はどのくらいかわかるか?」
「上空を飛んでいるのではっきりとはわかりません!数百はいるかと思われます!!」
ターナー卿の問いかけに、絶叫のような返答が続く。
「わかった。落ち着いて回避行動に出るように。」
「了解しました!」
俺は地図を見て連絡があったポイントを確かめた。
「今の連絡はこのポイントからですね。私はそちらに向かいます。他の監視班には、そのまま待機して監視を継続するように伝えていただけますか?」
「1人で行くのか!?」
「魔族の数を減らしてきます。」
ターナー卿は目を見開いていたが、すぐに気を取り直したようだ。
「他の加護者はどうするのだ?」
「しばらくはこのまま待機してもらいます。私が初手に成功した後、他の地点でも動きがないか確認するようにお伝え願えますか?」
「了解した。」
「可能なら一度戻って来ます。」
俺はそう言って、魔族が目撃されたポイントへと転移した。
その地点に移動してすぐに監視役の騎士を探したが見当たらなかった。うまく回避行動に移れたようだ。
上空に視線を向けて魔族の勢力を確認する。
太陽光の加減ではっきりとわからないが、目算では500はいそうだ。
普通に考えれば、王都を落とすのには過剰戦力というしかない。
WCFTー01を取り出した。
あれだけの数に対抗できる武器はこれくらいしかない。とはいえ、やはり数を減らすくらいにしか使えないだろう。俺1人なら別の策を考える所だが、今は頼り甲斐のある戦力がいる。
俺は魔族がいる上空より、さらに高い位置への距離を測った。目測では曖昧な数値しかわからないので、余裕をみて転移先のポイントを定める。
「さて、気を引き締めないとな。」
俺は上空に転移した。
かなりの高さがあるため、体が不安定になった。
腕を伸ばしてWCFTー01を構え、飛び込みのような姿勢で抵抗を少なくする。
魔族の軍勢を視界に捉えて、その端に銃口を向けた。
あらかじめ水属性仕様に切り替えてある。上空では酸素が薄く、火属性では燃焼効率が阻害される気がしたのだ。
間合いが詰まってから、引き金を限界まで引き絞った。
最初の魔族への着弾を確認してから、真横一文字になるように銃身を振る。空気抵抗が強いのでブレは生じるが、魔族の数の多さがこちらに味方した。
圧縮された水撃が対象を切り裂き、被弾した個体は真っ二つとなっていく。
水撃が集団の端から端までを分断した時には、数十体の魔族が絶命し地面に向かって落下していた。




