第4章 朋友 「加護者⑩」
「ファフ、マルガレーテに状況を伝えてもらえないか?」
「わかった。俺達はどうするんだ?」
「王都に向かう。」
状況が状況だけに口には出せないが、これは汚名返上の機会だといえる。望んだものではないが、これを活用しない手はない。
「ここも手薄になると不安が残るな。」
他にも残党がいないかは調べられていない。
「だったら、リルとフェリに残ってもらう。2人も魔族に対抗できるだけの力を持っている。」
アッシュの提案にそのまま乗ることにした。
聞いている話では、リルとフェリは強力な攻撃手段を得たらしい。
王都では、最悪の場合は市街戦に及ぶ可能性があった。そのケースに至った場合、強力な魔法は使い勝手を悪くする。それに、2人はまだ学院にいるのだろう。すぐに出発するとなると、間に合わないということもあった。
「回復支援要員としてパティにも来てもらおう。」
「助かる。」
アッシュとガイウスは打ち合わせを始めた。人員配備についての相談だろう。
「マルガレーテから、王城にも共有しておくと返答があった。」
「わかった。ありがとう。」
離れた位置でマルガレーテと連絡を取っていたファフが戻って来た。
「ソルとクリスには、またこちらに避難しておいてもらう。準備ができ次第、王都に転移する。」
あまり楽観視できる状況ではないが、四方の守護者が全員顔を合わせることになる。王都の防衛のためもあるが、アピールするには絶好の機会といえた。
被害を抑えながら魔族の脅威を退ける事で、王城の俺に対する立ち位置も変わるはずだ。
冷静に頭を働かせて、この先の手順について何パターンかを構築した。
非常事態とはいえ、転移での移動で魔族の襲撃には間に合わすことができるはずだ。そうなると、どこで迎え打つのが理想的かということになるが、その辺りは騎士団の防護体制を聞いてから確定させた方が良い。
状況によっては、他の4名に各所の支援に回ってもらう必要がないともいえないからだ。
「タイガ、私がんばるからね。」
傍に来たパティがそう言ってきた。
「パティには、負傷者のフォローをお願いしても良いか?」
「うん、任せて。」
「頼りにしてる。」
アッシュが抜け出せるには、もう少しだけ時間がかかりそうだった。
俺は銃器への装填を確認することにした。




