第4章 朋友 「集う力②」
『見事だ。四方の守護者の加護を持つ人間よ。』
3体の上位精霊を相手にサキナは一歩も引かなかった。しかも、自ら精霊魔法を封印して挑んだにも関わらずだ。
「私の···勝ちね。」
乱れた呼吸を整えながら答えたサキナは、予想よりも高揚感のない自分に驚いていた。
『余力を残して我等を倒したのだ。誇るが良い。そして、契約を受け入れようぞ。』
フェンリルヴォルフはそう言うと、ヨルムンガンドとヘルと共に姿を消した。
精霊との契約は常態的に力を与えてくれるものではない。
そして知らない者からすれば、ただ精霊達の姿が見えなくなったと思うだけだろう。
だが、術者自身は感じていた。その身に宿った契約が3体分あることを。
「·························。」
サキナは黙って体の隅々に行き渡る力を感じていた。
馴染んできた。
そう思う。
ここに来るまでは、白帝ヴィーヴルがもたらした加護はまだ不完全なものだった。同時に授かった知識にある竜孔。それらの覚醒は感じていたが、そこから体内を巡る流がようやく安定し浸透した。
力の最盛が訪れたのだと理解ができる。
すっと息を吐き、踵を返したサキナはまっすぐに出口へと向かい、すぐに走り出した。
来る時よりも短い時間で自領にたどり着いたサキナは、一度自邸へと戻り準備を行って再び目的の場へと向かう。
中立領シニタを経由して、タイガがかつていた国への道のりを馬で疾走する。
それなりの荷物があるため、自分の足で走破するのは難しいといえた。到着を焦る気持ちはあるが、準備も万端でやり残したこともない。
叙爵式の一件から慎重に動かなければならない面はあるだろうが、タイガがたどった足跡を慎重に見定めることが重要だと感じている。
「待っていて、タイガ。」
サキナは微かな笑みを口もとに浮かべながら手綱をさばくのだった。




