第4章 朋友 「新奇⑭」
「それって···私達は出会う前から何らかの絆を持っていたってこと?」
呼び出されたフェリは、リルから話を聞いて少し混乱していた。
「まだそうと決まったわけではないし、もしその推測が正しくても何か特別な力を得られるかもわからない。それを前提に聞いて欲しいの。」
一緒にいるのはギルバート家でも近しい間柄の者ばかりだ。本家と分家に別れてはいるが、直系なのである。
「タイガの人柄に関して疑問を感じることはないわ。でも、私達は彼の素性に初対面なのに何の疑問も持たなかった。私はそれが少し不思議だったの。」
「リルは、タイガがその···四方の守護者の中心にいるグルル?だから、自然と打ち解けることができたと思っているの?」
「その可能性が高いと今は思っている。だからといって彼との関係が変わるわけではないわ。重要なのは今後どうするかなの。」
フェリは少し複雑だった。
リルの話が本当だとすると、初対面のタイガに抱いた感情は一目惚れではなく、必然的な絆が働いたということだ。
関係として特別なものと思えば良いのかもしれないが、自分の気持ちが勘違いだったとは思いたくない。しかし、次に口を開いたパティの言葉でそのモヤモヤはすぐに消し飛んだ。
「タイガをどう思うかは人それぞれってことだね。」
「そうね、そういうことよ。私もそういった縁とか運命があったところで、人間性を否定したくなる人なら関わりたくないもの。」
リルとパティらしい物言いだと思った。
2人とも人当たりは良いが、好き嫌いがはっきりしているのは似ているのだ。
「わかったわ。そういうことなら、私も同じ気持ちだから。それで、その蒼帝の血統というのはどんな作用があるの?」
「それについてはアッシュが戻って来るのを待つしかないわ。それに、仮にアッシュが蒼炎の力を手に入れたとしても、それが私達にも扱えるようになるかはわからない。」
「ということは、リルは覚悟を決めておけと言いたいのね?」
フェリはリルの性格を良く知っていた。
彼女は人に無理強いはしない。ただ、可能性があるものについては、早い段階からいつでも決断ができるように促すところがあった。重要なことほどその傾向が強いといえる。それがパティやフェリに対しての彼女なりの優しさだということも知っている。
相変わらずお姉さん属性が強いなと思った。
「私達がタイガやアッシュと共に戦える力を持てるかはわからない。だけど、いざその選択に迫られた時に、はっきりと答えを出せるように今から考えておいた方が良いと思ったの。それが前線に出るものか後方で支援するものになるかはわからないけれど、相手は強大過ぎる。命がけの選択になるはずよ。」
フェリの気持ちはもう決まっていた。そして、リルやパティも同じ答えを持っていたのだ。




