第4章 朋友 「新奇⑧」
自走式馬車を回収して、必要な資材を買い込み載せておいた。
王都内に乗り込むのは流石に目立つので、都の外壁前で一時的に駐めさせてもらうことにしたのだ。
騎士団には開拓村の調査を行う学者の所有だからということで、周囲から注目を浴びないようにうまくカムフラージュしてもらっている。これは大公からの申し出の結果ともいえるのだが、こちらとしてもありがたい配慮だといえた。
これもバカ貴族を排除したことによる副作用のようなものなのだが、王都の門衛を努める騎士団員の態度を見る限り、王令でも出たのかもしれない。
大公から国王へ今回の事件の詳細が共有されて、俺の名前が出ている可能性があった。だが、あの国王の性格からすると、俺の存在を知らないことにした上で間接的な支援をしてくれているとも考えられる。
何にしても、動きやすくなったのには違いない。
「作業員は後から合流するようだ。護衛の冒険者に関してはいつでも出られるがどうする?」
バルトールはそう言いながら5名の冒険者を紹介してきた。いずれもランクC以下の若手有望株らしい。
「こちらの護衛は事足りているので、作業員に帯同してもらえると良いかと思います。」
「わかった。それではそのように連携をとる。先行するなら気をつけてな。」
バルトールはそう言いながらギルドに戻っていった。
「グランドマスターとお知り合いとは。高名な方々とご一緒できて嬉しいです。」
そう言いながら挨拶をしてきたのは、今回の護衛任務を受けたパーティーのリーダーだった。
バルトールから聞いた話では、今回の調査に出向くのが他国の偉い学者に急遽変更になってしまったので、グランドマスターとして懇意にしている他の都市を拠点とする上位ランクの冒険者にも応援を依頼したと周知したとのことだ。
便宜を計ってくれたのは良いが、へたに上位ランクの冒険者と説明されたことにより、別の好奇心を抱かせてしまったようだ。しかも、代役の学者も冒険者もたまたまこの王都にいたというゴリ押しは無理があるとしか思えなかった。
いや、彼の性格ならおもしろがってわざとそう説明したのかもしれない。
「上位とは言っても、我々は盗賊の殲滅をメインにしている冒険者ですから、対人戦闘以外はそれほど得意ではありません。」
冒険者としての話を聞かせてくれと言われても困るので、そんな風にごまかすことにした。
「対人戦闘のエキスパートですか?それは万一魔族と遭遇することがあっても心強いですよ。』
「あの辺りには魔族が出没することはないと聞いています。」
「そうですね。でも、情報源がスレイヤーギルドですから、念のために警戒はしておいた方が良いかと。」
「スレイヤーギルドが情報源だと、信憑性が低いと?」
「そういう訳ではありませんが、スレイヤーギルドはいろいろと問題を抱えているようですから。」
気になる言い方をされたので詳しく聞いてみたが、この冒険者も噂で聞いたことを誇張しているだけのようだった。
王城と距離を置いている弊害が悪い方向に流れているとしか思えなかった。




