116話 大切な居場所⑧
「事情はわかった。お前に任せるよ。」
アッシュに相談をしたらあっさりOKが出た。
「対外的に問題はないのか?」
「対外的?ああ、冒険者ギルドか。大丈夫だろ。たまに共闘することはあるが、基本的にはお互いに干渉はしないからな。ま、何かあったらうちの最終兵器が発動するぞって言ってやるよ。」
「···最終兵器って何だ?」
「えっ、お前だよ。」
傍らにいたバーネットがビクッと反応した。
「最終兵器って···おまえは俺をどんな立場にしたいんだ?」
「だってそうしておけば他の組織とか王国への牽制になるだろ?素手で魔族を倒せる奴なんて世界中を探してもお前だけだし。」
さわやかに笑いながら言うなよ。
「頼むからやめてくれ。」
「あ···あの、あんたアッシュ·フォン·ギルバートだよな?」
こらえきれないといった感じでバーネットが口を挟んできた。
「ああ、そうだ。」
「あんたは国内···いや、大陸内でも屈指のスレイヤーって聞いてる。そのあんたが最終兵器とかって言うタイガって何者なの?」
「世界最強のスレイヤーさ。」
「············。」
「タイガは俺よりも強いからな。10回闘ったら7~8回は敗ける。」
しれっと余計なことを言うなよ。ほら、バーネットが変な目で俺を見てるだろうが。
「····そ··そうなんだ。」
「俺がアッシュに勝てるのは訳ありなんだ。」
「わ、訳って?」
「魔法がすべて無効化するんだ。」
「···それって···チートじゃん。」
何度でも言う。
頼むからそういう目で俺を見るのはやめてくれ。
修練場にバーネットを連れていってみんなに紹介した。
経緯を説明したが、さすがに女性陣ばかりなので冒険者ギルドに非難が殺到する。
「そんな扱いをするなんて最低。」
「こんなにきれいな人を男扱いするなんてひどすぎますわ。」
etc···
「あ···ありがとう。」
バーネットはうれしそうだ。
「早速だけど、バーネットの認定試験をはじめるぞ。」
落ち着いたところで話を進める。
実力はしっかりと確かめておきたかった。
 




