第4章 朋友 「再びの大地③」
周囲を近場から隈無く探索し、徐々にその輪を広げていった。
上空からのマルガレーテのフォローもあり、それなりのペースで脳内に描いた地図が埋まっていく。
3時間ほどを費やして、南に進路を取りながら全体での移動を行うことにした。
自走式馬車を針葉樹の密集した地帯から何とか抜け出させ、道とは言えない場所を通過させて行く。
「前方、やや南東の位置に、小さな村が見えました。」
降り立ったマルガレーテの報告を受けて、そちらの方に進路を向ける。
「情報と、できれば宿や食料を提供してもらえないか聞いてみよう。」
そう言って、村にゆっくりと近づいて行く。
村があるということは、交易のために大きな街への順路が確保されている可能性がある。
ようやく、次の行動への道が開けるかもしれない。
そう思いながら自走式馬車を操るのだが、これまで静かだったアヤが囁いてきた。
「この辺りの精霊は、拠り所があるみたいだな。」
「拠り所?」
「何かがあっても、頼れるものがあるということだ。精霊は基本的に臆病なものが多い。自分たちのフィールド以外では、あまり広範囲には行動しない。」
「精霊王とかが近くにいるということか?」
「いや、どちらかと言うと、手練れの精霊使い・・・精霊魔法の担い手がいるのではないかと思う。精霊王のような統率力を持ったものではなく、頼りがいのある友人がいるのだろう。」
「そんなことまでわかるのか?」
「安心しているのか、朗らかな気風だ。本来、別の所に定着している精霊が、自由に動き回っている。」
「手練れの精霊魔法士か・・・。」
俺が知っている精霊魔法士はそれほど多くはないが、この気候と手練れというキーワードで思い浮かぶのは1人だけだった。
ただ、そういった偶然があれば良いが、そこまで期待するのは無理があるだろう。
彼女なら力になってくれる気はするが、この大陸も決して狭くはない。
アヤが言う精霊魔法士は、別の者の可能性が高いと考えた方が良いだろう。
ただ、精霊たちの様子を聞く限り、気質の良い精霊魔法の担い手が近くにいるということだ。
機会があれば、一度会ってみたいと思った。
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新作、「芒星の勇者 ~勇者として召喚されたけど、好き勝手に生きて何が悪い~」も同時連載中です。こちらもよろしくお願いします。
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