第3章 絆 「神界への扉④」
「邪神シュテインと悪魔について、聞いておきたいことがある。それに、グルルと四方の守護者についてもいろいろと確認をしておきたい。」
時間がないということだった。
聞きたいことを、矢継ぎ早に口にする。
「···神アトレイク?」
反応はない。
まさか、もうタイムリミットというのだろうか。
「·······························。」
その後、何度か呼びかけたが、神アトレイクが答えることはなかった。
いろいろとあるのだろうが、消化不良な感は否めない。
だが、先程の邂逅なのか神託なのかはわからないが、あれが妄想でないのであれば、かなり重要なことを聞くことができたと言える。
最奥にある神の祠に向かえば、この世界に限定はされるが、大陸を跨ぐ長距離転移が可能になるというのだ。
実際に、神力が一時的にせよ共有されるかどうかは、そこに到達してみなければわからない。
しかし、それが事実なら、これまでに関わった者たちが不測の事態に陥ったとしても、何らかの連絡手段さえ構築すれば、救援に向かえるということだ。
そして、会いたいと思っていた人たちとの再会も可能だろう。
あまり経験をしたことのない高揚感があった。
思っていた以上に、未練や執着というものを、特定の地や人々に感じていたということかもしれない。
望郷の念など、元の世界では感じたことなどなかったが、それだけこちらの世界で大事だと思えるものができたということか。
口もとが自然と綻ぶ。
神アトレイクよ、グッジョブだ。
俺は再び歩みを進めた。
他の3人が見当たらないのが気にはなったが、危機に瀕している状態ならば、神アトレイクがそう言っていただろう。
自然と歩を速める。
はやる気持ちがあることは否定しない。冷静さを失わないように、気持ちを抑制しながら前へと進む。
自らの心境の変化に気づきながら、それが心地よいものだと感じていた。
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