第3章 絆 「神界への扉③」
もっと感慨深いものがあるかと思ったが、特にそうでもなかった。
久しぶりに聞いた声にも、特別な感情が溢れ出るようなことはない。ただ、そこには微かに安心をもたらす何かだけが感じられた。
くされ縁の旧友に再開したら、こんな感覚なのだろうか。
俺の記憶にあるくされ縁は、文字通りのものばかりであまり参考にはならなかった。
「久しぶりに投げかける言葉としては最悪だな。」
『事実を述べただけだ。相変わらず、敬う心というものを知らないようだ。』
「敬っているさ。自分なりには。」
『まぁ、良かろう。壮健で何よりだ。』
「お互いな。」
そういえば、実は女神だったという説を聞いていた。
神という存在は象徴的なものとも思えるので、男神だろうが女神だろうが関係はないが・・・。
それに、神界では元閣僚だったか、重要なポストにいたとも聞いている。
ツッコミどころが多すぎて、話を振る気にもならない。
『どうかしたのか?』
「・・・いや、聞きたいことが多すぎて、頭を整理していた。」
『そうか。残念ながら、あまり時間がない。』
「そうなのか?」
都合の悪い質問を避けるために、適当な事を言っているのではないだろうな。
『以前とは違い、神界に呼び戻された身だ。そちらで顕現するためには、生滅変化を繰り返して常住不変の存在となる必要がある。』
「・・・悪い。何を言っているのか、意味がわからん。」
『要するに、今の状態でも消耗が激しいということだ。』
そのまま話を引き延ばしたら、消滅でもするのだろうか。
「わかった。無駄話は控えよう。ここには他の者たちと一緒に来た。無事なのか?」
『問題はない。あの者たちは、個体差はあれど、善性の要素を持っておる。』
神界に戻ったら哲学的な物言いになるのか、いちいち難しい言い回しをする。
「無事なら良い。」
『うむ、あまり時間がない。要点だけを伝えるぞ。このまま奥まで進むと祠がある。そこで、手をかざし、念じるのだ。』
「何を?」
『そうだな、アトレイク様大好き~とでも念じるが良い。』
「馬鹿じゃないのか?」
『失礼な。これは重要なことなのだぞ。神を敬う気持ちが、そなたに力を頒つことになる。』
「何の力だ?」
『祠を介して、一時的に神力が共有される。それを使えば、その世界に限定はされるが、望む場所への転移が可能になる。』
「随分と貴重な力を授けてくれるものだ。」
『授けるわけではない。あくまでも祠を介して、刹那的に提供されるだけだ。』
「それは、祠の前にいる時しか使えない力なのか?遠方に転移をしたとして、一方通行だと困りそうだが。」
『往路に使える程度のものは供給されるだろう。』
初めて、神アトレイクが本当の神に見えてきた瞬間だった。
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新作、「芒星の勇者 ~勇者として召喚されたけど、好き勝手に生きて何が悪い~」も同時連載中です。こちらもよろしくお願いします。
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