第3章 絆 「神界への扉②」
地下に向かって延びる階段。
それをかなりの距離と思えるくらい歩いていた。
緩やかな螺旋状になっており、一定の距離ごとに踊り場のような平らな通路が設けられている。
白一色で、何の装飾もない。
照明のような物は見当たらないのに明るい。
壁や床自体が淡く光っているような感じだが、非日常的で、汚れなどは一切目につかなかった。
神秘的な様相ではあるが、終わりの見えない道程である。
4人とも次第に寡黙になるが、同じテンポで進んでいく。
神界につながる道だと言われれば、それらしい雰囲気とも言えるのだが、それだけに精神的な負荷は増していくように思える。
いつしか、何も考えずに前に進むことだけに没頭するようになっていた。
ふと、我に返ったかのように、周囲に視線を走らせた。
いつの間にか、1人きりになっていることに気づく。
ただ、まっすぐに延びるだけで、分岐点などはなかったはずだ。
焦りなどは感じないが、どういった意図があるのかが気になった。これは何かの試練なのだろうか。
もしそうだとすると、個々に引き離された可能性がある。マルガレーテやファフについては、問題はないだろう。
唯一、ソルのことだけが心配だった。
1人で歩むようになってから、長いのか短いのか、わからない時間が経過していた。
体力的な消耗は感じないが、精神的な負荷は増したように思う。
非日常的な状況に、強いストレスを感じているのだろう。
人は極端な閉鎖感や孤独に対して、精神的に脆弱である。心が弱ければ、こういった雰囲気に押し潰されてしまう。
様々な妄想にとらわれ、自らを追い詰めてしまうことにも成りかねないといえる。
こんな状況でも、自我を保つためには切り替えが必要となる。
孤独は妄想であると認識することだ。
妄想は酷くなれば辛さしか生みださないが、こういったものは楽しむことが大事だ。
何かを追いかけようとしている状態。人の温もりを感じたいという欲望が孤独感を募らせ、嫌な妄想を加速させる。
逆に言えば、それはただの被害妄想なのだ。
自分自身の過去を見つめ直せば、孤独であることが常態であったことがわかる。
裸の女性を思い浮かべる。
本能に直結した妄想。
・・・悪魔バフォメットの姿が浮かんできた。
違う。
おまえじゃない。
俺は悪魔バフォメットのイメージを、蒼龍で両断した。
もっと、ちゃんとした女性像が必要だ。
なんでおまえやねん。
俺は強く念じた。
頭の中で思い浮かんでくるのは、最も強い情を感じる女性。
それは・・・。
『何をニヤニヤとしているのだ。気持ち悪いぞ。』
俺の妄想を途中で遮ったのは、懐かしいともいえる声だった。
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新作、「芒星の勇者 ~勇者として召喚されたけど、好き勝手に生きて何が悪い~」も同時連載中です。こちらもよろしくお願いします。
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