第3章 絆 「神界への扉①」
清廉とも言える雰囲気の通路が続いた。
白を基調とした色彩。
ほとんど人が通ることもないのだろうが、埃が積もっている様子はない。
荘厳という言葉が、これほどしっくりとくる建物もなかなかないだろうなと感じながらも、別のことを頭に思い描いた。
クリスがここに立ち入れなかった理由は、普通の人間にはその資格がないということだろうか。
では、ソルはなぜすんなりと入ることができたのか・・・。
本質は悪魔のままだ。
それ自体は、かなり弱々しいものとなっている。
ただ、そうであったとしても、神に仇なす存在であることは変わらない。
結界が張られていたとして、なぜその存在を容認したのか。
そこまで考えた時に、思い当たることは一つだった。
ソルには、俺が竜孔流を継続的に注いだのだ。
それによって羅術が使えなくなったのだが、体内に存在する核が安定し、邪気が流れることを抑制する効果をもたらせた。
加えて、神威術である魂の盟約を交わしている。
それらがソルを、グルルの準加護者としての存在に変えていったのではないだろうか。
あくまで推測でしかないのだが、準加護者というものは、神の側の存在として見られている可能性がある。
そう考えると、ソルがこの神殿の内部に立ち入れたことに納得がいく。
しかし、それは希望的観測である可能性も、捨てるわけにはいかなかった。
あくまで可能性の問題かもしれないが、神界側がソルを敵だと判断した場合、彼女の身に危険が迫ることも考慮しておくべきだろう。
ソルに視線をやると、彼女はそれに気づいて、はにかむような笑顔を返してきた。
そっと頭を撫でる。
今の俺にとって、ソルは妹のような存在かもしれない。
万一の可能性が最悪のものだとしても、彼女を守るためには相手が誰であっても対処する。
そう決意していた。
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