113話 大切な居場所⑤
他のみんなはシスとテスの特訓のために修練場に向かった。
俺は新しいパーティーメンバーを探すあてもなかったので、とりあえず受付に行ってめぼしい人材がいないかを聞くことにする。
「なんでダメなんだよ!」
受付で何かもめてるようだ。
「ですから、あなたは資格を剥奪されているんです。違うギルドに来たからといって再登録はできません。」
「ふざけるなっ!資格を剥奪されたのはあっちのギルドでセクハラをされてギルマスをぶんなぐったからだ。俺は悪くないっ!!」
職員と···自分を俺と呼ぶアマゾネス系のお姉さんが口論をしている。
資格剥奪?
あっちのギルド?
ギルマスをぶん殴った?
おお、元気が有り余ってるな。
「あっ!ギルマス補佐助けてください!!」
へっ!?
「この方が他のギルドで資格を剥奪されているにも関わらず、こちらで雇えって言われるんです。」
やめて···巻き込まないで。
さっきリルに「自重して」と言われたばかりなんですけど。
「ギルマス補佐っ?ってことはあんたエライんだよなっ?」
そんなことはないですよ~。
「あ、コラっ!目をそらすな。」
天井を見て気づかないふりをしていたら、下から覗きこまれて絡まれだした。
「話くらい聞いてくれよ。」
仕方なく目線を合わせた。
背が高い。
180センチ近くはありそうだ。ゴツいわけではなく、鍛え抜かれた体をしている。
じっと睨みつけてくる目を見返す。
目というのは正直だ。
後ろめたいものがあれば直視されると狼狽える。このお姉さんにはそれがない。むしろ訴えるような眼差しをしていた。
ソート·ジャッジメントを発動してみると、この女性の内面は誠実そのものに感じられた。
「わかった。話を聞くからカフェにでも行こうか。」
職員に後を引き継ぐことを伝えて移動する。
アマゾネスお姉さんは少しホッとしたような表情をしていた。
「バーネット·レイクルだ。あんたは?」
言葉遣いは悪いが、自分から名乗る常識は持っているようだ。
「タイガ·シオタだ。」
「え~と、ショタ?」
ショタって言うな!
「呼びにくいだろうからタイガで良い。」
「じゃあ、タイガ。あんたギルマス補佐なんだろ?俺をスレイヤーとして登録してくれ。」
「先に詳しい事情を話してくれないか。」
バーネットは露骨にめんどくさそうな顔をした。




