第3章 絆 「炎帝ロゥズル⑦」
神々と対話ができる祠。
それが、地下に存在するという神殿が目の前にあった。
それなりに時間がかかったが、ようやくここまで来れた。
黒虎スワルトゥルの助言で正確な場所がわかっていたので、余計な時間をとられることなくたどり着くことができた。
しかし、同時に無駄足になる可能性も否めない。
黒虎スワルトゥル曰く、神々との対話は一方通行だということだ。
「神界にいる真神からの託宣や啓示を受けて、初めて扉が開かれる。」
それが言葉通りだとすると、俺が出向いて何かの要件を満たすという非常に稀な状況にでも遭遇しなければ、目的は果たせないだろう。
だが、ここに来ることで、何かが開ける可能性はあった。
一度、転移術でこの場所に来ようとしたことがあったのだが、それは実現しなかったのだ。
何らかの力が働いているとしか思えないのだが、神威術が無効となるのであれば、結界なのか神力なのかが働いているということだろう。
そういった力が機能しているということは、神もしくは神界の力は今なお影響を及ぼしているはずだ。
鬼が出るか蛇が出るかという心境がないではないが、それは望むところだといえた。
「!?」
ファフが突然何かに反応した。
マルガレーテを見てみたが、彼女もじっと神殿を凝視している。
「何を感じた?」
そう聞いてみたが、マルガレーテは戸惑ったような目でファフに視線をやるだけだった。
「···炎帝ロゥズル様。」
ファフがかすれた声を出す。
「その気配を感じたのか?」
「ああ···どうやら、俺を呼んでいるらしい。」
ファフは視線を動かさずに、そう話した。
「そうか···ちょうど良い。とりあえず、俺とファフだけで中に入るか。」
「炎帝ロゥズルが呼んでいるのは俺だけだ。」
こちらに視線を移したファフは、緊張をあらわにしていた。
「俺を見て、炎帝ロゥズルがどう反応するかを見てみたい。ファフだけを呼んでいるとしても、目的が何かわからないからな。オブザーバーとしての立場なら、その資格がないわけではないだろう。」
俺には炎帝ロゥズルの気配は読めなかった。それが何を意図するのかを知りたい。
それに、グルルの後継者だというのであれば、邪険にされることもないだろう。
「気づかってくれているのか?」
「勘違いはするな。ファフと炎帝ロゥズルの関わりに、俺が何かをするわけじゃない。ただの傍観者だと思えば良い。それに、俺自身も確かめたいことがあるからな。」
「···わかった。」
ファフはぎこちないながらも、軽い笑みを見せのだった。
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新作、「芒星の勇者 ~勇者として召喚されたけど、好き勝手に生きて何が悪い~」も同時連載中です。こちらもよろしくお願いします。
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